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50人に1人「ひきこもり」なぜ急増?放置すれば一家心中・家族間殺人が続発へ。悪徳精神病院や支援業者の暗躍も=神樹兵輔

「ひきこもり」は病気ではないが、無関係ともいえない

「ひきこもり」そのものは社会参加をしない「状態」を指す言葉です。病気ではないので、必ずしも治療を必要としません。

しかし、当事者にとって「ひきこもり」は、抜け出せない苦しみを抱え、家族にとっても経済的、精神的負担は尋常ではなくなる状況です。

けっして放置してよい問題ではないのです。

「ひきこもり」は「状態」であって、「病気」ではない――というものの、「ひきこもり」が長期化してくると、二次的な精神症状や問題行動が生じかねないのが実情です。

抑うつ、不眠、強迫性障害、対人恐怖、統合失調症、双極性気分障害、パニック障害、パーソナリティ障害、家庭内暴力、摂食障害などが含まれる場合もあるからです。

こうした病気が疑われる場合は、適切な治療が必要になります。ゆえに、専門の医師やカウンセラーによる治療が必要になることもあるわけです。

また、「ひきこもり」の理由を「働きたくない怠け者」だの「世の中への反抗」と決めつける向きもありますが、もちろんこれも間違いです。

働きたくても働けない、苦しい状況にあるのが「ひきこもり」なのです。つまり、内心に深い葛藤を抱えています。

そして、「ひきこもり」の状態は、本人にとっては「危険から身を守る唯一無二の生存手段」ともいえるのです。

このことを誤解すると、接し方を誤ってしまいます。

家族が「ひきこもり」になった時にどうすればよいのか?

「ひきこもり」になる人は真面目な人が多いと言います。ゆえに、将来に対して、真面目な「不安」を抱えています。

「自分のせいで周囲に迷惑をかけている」(自責感)
「あいつらのせいで自分はこうなった」(他責感)
「あんなつらい思いはもう味わいたくない」(拒否感)
「何をやってもダメな気がする」(諦観)
「自分はダメ人間だ」(自己否定)
「他人の目が怖い」(不安.羞恥心)
「思い通りに動けない」(無力感)
「何もやる気がしない」(無気力)
「自分の将来がどうなるのか不安」(閉塞感)
「生きている意味が感じられない」(絶望感)

こうした思いが、ぐるぐる渦巻いているのが「ひきこもり」に陥った人の心です。少しでも早く救出してあげる必要があるでしょう。

「ひきこもり」の人に対して、家族に必要なのは「受容的態度」をとることができるかどうかです。これなくしては、「ひきこもり」の人への支援は始まらないからです。

「安心して引きこもれる場」を提供してあげなければいけないのです。ただし、金銭的要求や暴力に対しては、この限りでないのは、言うまでもないことです。

家族だけで悩みを抱えるのでなく、ひきこもりの「親の会」で悩みを共有したり、カウンセラーなどの専門家の知見を頼るのも大事なことなのです。

これらを通して、「ひきこもり」の人に「生きるエネルギー」や「生きる意欲」の灯をともしていくことが重要といわれます。

けっして、家族だけで、悩みを抱えないことなのです。

特定非営利活動法人の「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」が編纂し、東京都が発行している「ひきこもり家族」のためのパンフレットによれば、「ひきこもり」を回復させる過程は、次のような段階を経ていくことが教示されています。

1. 混乱期….「家族だけで抱えず、話を聴いてもらえる場をもちましょう」
2. 充電見守り期..「家庭を安全基地に。本人の生きるエネルギーを取り戻す環境づくりを」
3. 俯瞰期….「自分を見つめる段階へ。現状を変えないとダメだという危機感」
4. 挑戦期….「支援者や仲間との新たな信頼関係づくりへ(自己選択.自己決定)」

このように焦ることなく、段階的に時間をかけて、「ひきこもり」からの自己解放を援助することの大切さが解説されています。

Next: 許せない「ひきこもりビジネス」の存在

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