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築地銀だこ、ドジャースとスポンサー契約を締結。大谷効果でたこ焼き文化の海外進出を狙うも“外カリカリ”が世界基準となることを危惧する声も噴出中

米大リーグで大谷翔平選手と山本由伸選手が所属するドジャースが、たこ焼きチェーン「築地銀だこ」と複数年のパートナーシップ契約を結んだと報じられたことが、大きな反響を呼んでいるようだ。

株式会社ホットランドが展開する築地銀だこは、すでに今季から同チームの本拠地・ドジャースタジアムに出店し、たこ焼き6個入りを13.99ドル(約2,170円)で販売しているとのこと。

ドジャースの球団副社長兼最高マーケティング責任者(CMO)のロン・ローゼン氏は、「同社のたこ焼きは食べやすく、すでにドジャースファンの間でヒットしており、両組織とそのブランドの成長を象徴している」と語っているという。

他の外食チェーン同様に築地銀だこも海外進出に注力へ

大谷選手、山本選手という注目の日本人選手が今シーズンより加入したドジャース。それに伴って日本企業とのパートナーシップ契約を続々と決めており、これまですでに全日本空輸(ANA)やTOYOTIRE、興和、大創産業、日本管材センター、コーセー、木下グループ、THK、いなば食品などと契約を結んでいる状況。

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大谷選手とは10年総額7億ドル(当時約1,015億円)という巨額契約を結んだドジャースだが、このように日本企業が相次いでスポンサーに名乗りをあげる状況とあって、現地では「大谷は金儲けの機械だ」などの声もあがるなど、ドジャースは十分に元を取れるのではないか……との見方が広がっているようなのだ。

そんななかで、今回新たにドジャースとパートナーシップ契約を結んだ築地銀だこだが、1997年の1号店開店から約四半世紀経った22年時点で、日本全国に約500店舗を展開と、たこ焼きチェーンとしてはもはや敵なしといった地位を築き上げることに成功。

さらに同チェーンを展開するホットランドは、たこ焼き業態以外にも「銀だこハイボール酒場」や「日本再生酒場」といった酒場業態、さらに「野郎めし」や「東京油組総本店」など主食系の業態も精力的に展開中だ。

そんなホットランドの直近の業績はというと、今年2月に発表された2023年12月期連結決算によれば、純利益こそ24.8%減となったものの、売上高は前期比20.4%増の387億1,000万円と、過去最高を記録したようである。

いっぽうで昨今の飲食チェーンといえば、客単価がさっぱり上がらない日本国内はそこそこに、海外への進出に注力するというのが専らだが、築地銀だこにも同様の動きが。

というのも2023年段階で、北米に2店舗、中国・香港・台湾・韓国といったアジア地域に31店舗、タイ・マレーシア・フィリピンなどのアセアン諸国に51店舗あるという海外店舗なのだが、同社の中期経営計画によれば、これを2027年までには北米20店舗、アジア50店舗、アセアン130店舗まで伸ばしたいということなのだ。

ちなみに、たこ焼きに欠かせないタコといえば、欧米などでは“デビルフィッシュ”などと呼ばれ、好んで食べる者はいない……といった話が流布していたことも。

ただ、実際のところはそこまで忌み嫌われては無いようで、現にとある食品メーカーがアメリカ国内で様々な日本食の認知度を調査をしたところ、たこ焼きが天ぷらなどに続く7位に入ったとのこと。なんでも、日本を訪れる外国人観光客が増えたことで、たこ焼きの庶民的なソースの味などに好感を持つ向きが、徐々に増えているのでは……というのだ。

“6個入り2,000円超”の現地価格に驚愕の声

というわけで、今後アメリカ進出に本腰を入れていこうとしている築地銀だことしては、大人気の大谷選手らを擁するドジャースとのパートナーシップ契約によって、アメリカ現地はもちろんのこと、野球熱の高いアジアに向けても、たこ焼きという存在や文化をどんどんアピールしていきたいといったところか。

ただ今回の報道で、何よりも大きな反応となっているのが、ドジャースタジアム内に出店した築地銀だこでは、6個入りたこ焼きが2,000円超という価格で売られているという事実。日本国内だと、オーソドックスなたこ焼きが一舟・8個入りで、だいたい600円ちょっとで売られていることは誰もが知るだけに、その価格差に唖然とする者も多いようである。

いっぽうで築地銀だこが、海外への進出を本格的に狙うといった姿勢を見せるなかで、一部からあがっているのが、今後のたこ焼きは“外カリカリ”なのがグローバル・スタンダードになっていくのでは……との見方。

築地銀だこのたこ焼きといえば、焼き上げ後に油をかけて揚げる工程をくわえることによって実現した「外はパリッと、中はトロッと」という食感が大きな特徴。しかし、そんな築地銀だこが日本中に店舗網を拡大する以前から、たこ焼きをソウルフードとして常食してきた、主に関西圏にお住まいの方々からは、そのカリカリ感を“邪道”だとする声も多くあった。

しかしながら、今や築地銀だこが日本国内でここまで幅を利かすようになったうえに、さらには海外にまで進出するようになると、最早たこ焼きのスタンダード食感は“外はカリカリ”になってしまうのでは……と危ぶむ向きも結構多いようのだ。

たこ焼きという存在が、世界へと大きくはばたいていくきっかけとなるのは間違いなさそうな、今回のドジャースと築地銀だことのパートナーシップ契約だが、それを見つめる人々の視線や思惑は様々といったところのようだ。

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