M&Aで業績を拡大させる
これらの固定費の削減を終えて、成長のために行ったことがM&Aです。
2010年台の中盤にかけては、半導体製造メーカーの中で再編の波が起きていました。
当時マイクロコンピュータ業界2位だったオランダのNXPが、約2兆円を投じて業界の4番手を買収。ルネサスはマイクロコンピューター業界シェアトップの座を譲ることになります。
そこでルネサスが行った行動は、マイクロコンピュータと親和性が高いアナログ半導体領域のM&Aです。そのスタートとなったインターシルの買収額は3200億円と言われています。先の2兆円の買収に比較すると、規模は小さく感じますが、16年3月期の当期純利益の4倍相当ですから、大きな賭けに出たといって良いでしょう。
結論、その結果は勝ちです。2019年など自動車の需要減少により苦しい時もありましたが、得意の自動車関連と産業関連をバランスよく成長させています。
出典:各年度決算短信より作成
このM&Aは苦し紛れの戦略ではありません。
2017年のインターシルでシリコンバレー式のスタイルを学び、仕事に対するアグレッシブさを評価しIDTの文化を吸収。グローバルなダイアログセミコンダクターの買収によってマルチカルチャーのマネジメントに慣れていった…
M&Aというと、親会社の文化やノウハウを買収先に注入するケースが散見されます。(それが悪いわけではありません)
私はルネサスのM&Aの成功要因を以下のように考えます。
「買収先の企業を尊重しつつ、良い企業文化などを取り入れ、グローバル化に成功したこと」
では、現在のルネサスはどうなっているのでしょうか?