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止まらぬAppleの迷走…電気自動車を諦めて「生成AI」に集中する戦略は正しいのか?10年の開発期間とコストを投げ捨てた理由=今市太郎

低価格競争に突入

また搭載電池価格の低下とともに、この市場は2000年代初頭の液晶ディスプレーの価格破壊に近い低価格化が進んでいることも、利益率の維持に暗い影を落とす結果となっているようです。

かつては高級乗用車ほど製品としての組み立て精度の高いものはなく、その対価として高額な価格を消費者が支払うものとなっていましたが、もはや自動車はそういう商品ではなくなってしまった感があります。

開発は10年前からでも市場では完全なレイトカマーとなるアップルは、商品投入前段階からその利益率に問題が生じていたという見方も高まっています。

iPhoneのように唯一無二で他の商品を完全に圧倒して凌駕する商品を後発参入のEV市場で実現するのは、さしものアップルにも難しい状況となっているわけです。

市場の不確実性は「生成AI」ビジネスでも同じはずだが…

アップルは今回のEV開発中止で、相当数の技術者を生成AIの開発に回すとしています。

まあ一般的な自動車メーカーでEV開発が中止になっても、多くのエンジニアはとてもではありませんが、生成AIの開発に回されるとは到底思えません。

しかしながらアップルは、そういうレベルの技術者に自動運転EVの開発を行わせていた……ということが、いまさらながらに明かになってしまったようです。

現状は「AI」と名のつく開発を行う米国上場企業の株価はうなぎ登りです。

ただし、アップルに関しては、相当な技術を保有していると噂されているものの、この分野でも遅れをとっているのは間違いない様子。

この際、不確実性の高いEVよりも、スマホへの実装も近い生成AIの開発に経営資源を集中させるというのが、今回のアップル経営陣の判断のようです。

資金調達に苦労しないであろうアップルにとっては、10年・数千億円規模の開発コストを無にすることなど、何のリスクもないのでしょう。

しかし、冷静に考えますと「AIビジネス」も話題と期待が先行しすぎて、本当に大きな市場が形成できるのかどうかは、まだこれからというのが正直な状況です。

競争相手が多いだけに、ヘタをすればEVの後発商品参入よりもっと大きなリスクを抱えることになるかもしれないにも関らず、アップルはそうした判断を下すことになりました。

Next: 「生成AI」への舵切りは正解だったのか?アップルの命運は……

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