原油高、ドル高、金利高がもたらすパニック
仮に原油価格が1バレル=100ドルを超えていくような状況になれば、言うまでもなく収まりつつある世界的なインフレが再燃することになる。インフレが再燃すれば再び金利が上昇し、ドル高を招くことになる。
原油高が招くインフレについては解説するまでもないが、インフレは前回のように世界中の中央銀行の金利を引き上げることになる。金利が上がれば、「ドル高=自国通貨安」になる。ドル高は日本を始めとする世界中に輸入インフレをもたらす。
ドル高は、発展途上国や新興国の経済に大きな影響を与え、投資資金の海外流失(米国回帰)や保護貿易主義の台頭などをもたらす。とりわけ、日本のようにエネルギーの海外依存度が高い国では、猛烈な輸入インフレをもたらすことになる。
そこで問題になるのは、中央銀行が米国の金利高に対応して金利を上げていくことができるかどうかだ。残念ながら日本の日銀は莫大な国債を保有しているなどの関係で、金利をどんどん上げていくことができない。金利引き上げでは、日銀はすぐに「逆ザヤ」となり、債務超過に陥る可能性が高いからだ。
結局は、ホルンズ海峡封鎖によって、日本では次のようなリスクにさらされることになる。
- エネルギー価格の上昇
- 輸入物価の高騰
- 超ドル高円安の進行
- 高インフレによる景気後退
結局、国民ができることとしたら、せめて円ではなく、海外の通貨や株などに投資し、さらに金などのインフレに強い資産を保有して、自分の生活を守るしかない。1973年10月6日に起きた第4次中東戦争による石油危機の時には、トイレットペーパーの買い占めや洗剤が店頭から消えたが、今回はその程度のショックでは済まないかもしれない。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2024年5月9日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による









