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日本のエリート官僚はなぜ「国益第一」の外交ができないのか?=北野幸伯

ではどうすればいいのか?

「理想論」みたいで申し訳ないですが。政治家の、特に上の方にいる人たちは、しっかりとした国家戦略をもつということですね。再臨の諸葛孔明、世界的地政学者、大戦略家の奥山真司先生によれば、「戦略」には「階層」がある。上から下に、

  • 世界観
  • 政策
  • 大戦略
  • 軍事戦略
  • 作戦
  • 戦術
  • 技術

(「戦略の階層」については、『世界を変えたいなら一度「武器」を捨ててしまおう(奥山真司)』を。人生変わります。絶対お勧め。)

日本の場合、「世界観」「政策」「大戦略」など、最重要部分がよくわからない。

私は、世界観については、「自由、平等、人権、民主主義」プラス「和」でよいと思います。「日本は全然悪くない」という世界観だけでは、世界の共感は得られないでしょう。

政策について。自立する政策を進めると同時に、世界の「和」を進める政策を行うべきです。だから、やたらと中国を挑発したりしない。そして、貧しい国を助けましょう。井戸をつくり、農業支援をし、発電所をつくり、学校をつくる。

そして大戦略ですが、「価値観を共有する国家群と協力関係を深めていく」。具体的には、アメリカ、インド、欧州、ロシア、東南アジア諸国、オーストラリアなどなど。これらの国々と関係を深めていけば、中国も尖閣を奪えなくなります。

連戦連勝の日本軍が中国国民党に敗れた教訓を忘れるな

こういう話、特に「大戦略」の部分を聞いて、「甘い!」と考える人も多いことでしょう。軍事力の裏づけも確かに必要ですが、それだけではダメなのです。

軍神・項羽は、劉邦に100戦100勝でしたが、最後の最後で一敗し、滅びました。戦いに弱い劉邦は、外交を重視し、味方を増やしていったのです。

また、連戦連勝だった日本軍は、弱い中国国民党に敗れました。弱い中国は、情報戦、外交戦を重視し、アメリカ、イギリス、ソ連を味方につけていた。いくら日本軍が強くても、アメリカ、イギリス、ソ連、中国を同時に敵にまわして勝てるはずがありません。

軍事力も大事ですが、他国との関係を悪化させないよう、細心の注意を払う必要があるのです。

しっかりとした、世界の誰も文句をいえない世界観をもつこと。それを政策と大戦略に転化すること。そうしてこそ、「真の国益」に沿った政策、外交が可能になります。

日本に幻滅する必要はありません。実を言うと、アメリカも、欧州も、中国も、ロシアもみんな揺れているからです。

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ロシア政治経済ジャーナル』(2016年5月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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