アウトドア用品メーカーであるスノーピーク<7816>が、関東信越国税局から約6億円の申告漏れを指摘されました。この申告漏れにより、過少申告加算税を含めた追徴税額は約1億5000万円に上る見込みです。同社は2024年7月9日(火)に上場廃止となりますが、同月には他にもローソンなどの企業が非上場となることが決定しています。
上場廃止のスノーピーク、申告漏れの背景とは
共同通信社の報道によると、スノーピークは韓国にある子会社との取引において、日本国内で計上すべき所得を申告していなかったと指摘されています。この結果、2020年12月期から2022年12月期にかけて約6億円の申告漏れが発生しました。
スノーピークは、コロナ禍でのキャンプ需要拡大により、一時的に業績が向上。しかし、コロナ禍収束とともにキャンプ需要が低下し、2022年12月期の最終利益は前年度比で99.9%減少。100万円という結果になりました。
2023年4月には経営陣による自社買収(MBO)を発表。アメリカの投資ファンドであるベインキャピタルと連携し、株式の公開買い付けを実施することで上場廃止へと進めました。非上場化の理由の1つに、経営の自由度を高めることが挙げられています。
また、国内だけでなくアメリカや中国などへの海外展開や新規事業に注力する方針を発表しました。そんなスノーピーク以外にも、2024年7月に上場廃止となる企業がいくつか存在します。
スノーピーク以外の上場廃止企業【2024年7月】
グラフィコ
グラフィコ<4930>は、健康食品・化粧品・日用雑貨・医薬品などを手がけている企業です。Church & Dwight Japan(チャーチ・アンド・ドワイト)合同会社による公開買付け(TOB)が成立し、上場廃止が決定しました。グラフィコの上場廃止日は、2024年7月16日(火)です。
双信電機
双信電機<6938>は、ノイズフィルタなどの産業機器分野や情報通信機器分野向け製品の開発・製造・販売を行っています。台湾Walsin(ワルシン)傘下の釜屋電機株式会社による公開買い付け(TOB)が成立し、上場廃止が決定しました。
釜屋電機は、双信電機に対して株式公開買い付けを実施し、TOBが成立。これにより双信電機は完全子会社化され、2024年7月17日(水)に上場廃止となります。
ローソン
ローソン<2651>は、三菱商事とKDDIによる公開買い付け(TOB)により非公開化され、上場廃止が決定しました。両社はローソンの非公開化に向けた株式公開買い付けを実施し、TOBが成立。これによりローソンは非公開化され、三菱商事とKDDIの共同経営体制に移行します。ローソンの上場廃止は、2024年7月24日(水)です。
永谷園
永谷園ホールディングス<2899>は、2024年6月3日(月)に経営陣による公開買い付け(MBO)を発表しました。これは全株を買収し、上場廃止することを目的としています。1976年12月に上場して以来、長い歴史を持つ知名度の高い企業ですが、上場廃止に踏み切ったことが大きな話題となっています。
永谷園は三菱商事<8058>が10%強の株式を保有し、創業家が大株主です。2024年3月期の売上高で過去最高の業績を達成していましたが、今回のMBOでは創業家が三菱商事系の投資ファンドと組んで行う形で非上場化を図ることにより、迅速な意思決定と成長を目指しています。上場廃止は7月中の予定です。
スノーピーク、グラフィコ、双信電機、ローソン、永谷園が上場廃止となることが決定しています。各社はそれぞれ異なる理由と背景で上場廃止に至っていますが、共通しているのは“厳しい経営環境”の中での戦略的な判断です。各社は今後の成長と発展を目指して新たなステージに進むこととなるでしょう。
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