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【参院選】安倍大本営によるアベノミクスの「よかった探し」が始まった=斎藤満

安倍政権が主張する「成果」のからくり

では安倍政権が主張する「成果」が本当なら、どうしてGDPが低成長のままで、しかも賃金雇用の増加を自慢する中で、個人消費が2年連続の減少となったのでしょうか。これにはいくつかの「からくり」があります。

まず有効求人倍率の上昇には「お化粧」があり、実際は見かけほど美しくありません。有効求人倍率とは、失業保険をもらいながら仕事を探している人(有効求職者)の数に対して、企業の求人数がどれくらいあるかを示す指標です。

ここで少なくとも2種類の「化粧」が有効求職者の数を減らし、求人倍率の数字を高く見せています。

まず、近年の人口減少で有効求職者の母数が少なくなっています。この10年で15歳から64歳の「生産年齢人口」が500万人も減っていますが、そのなかで、求職する人の数も減っています。

2012年度の有効求職者は240万人強いたのに対し、15年度は195万人に減っていますが、この中には就職できたためではなく、そもそも人口が減ったための要素が大きくなっています。

さらに、失業保険を受給する条件が厳しくなっているために、「有効求職者」となること自体が難しくなり、数が抑制されている面があります。

かつては、失業保険の申請には、月に一度、職安の定めた日に出頭して申請すればよかったのですが、現在は失業中であり、4週間に最低2件以上の求職活動をし、仕事があればすぐにつける状態にあることが条件で、そのうえで決まった日時に申請に行く必要があります。

誰にでも4週間に2社以上申し込みできる企業のオファーが見つかるわけではなく、脱落する人も少なくありません。

つまり、失業保険をもらえる「有効求職者」と認定されることは決して容易でないのです。求人倍率が1倍を超えて、少なくとも1人に1件以上の求人がある、というのは数字のマジックの面があります。

「3年連続ベース・アップ」でも、実質賃金は大幅ダウン

また、3年連続のベース・アップと言いますが、厚生労働省の「毎月勤労統計」によりますと、1人当たりの現金給与総額(名目)は、2013年度からの3年間でわずか0.5%しか増えていません。この間の物価は消費税の引き上げもあって3年間で4%も上昇しているため、これを差し引いた実質賃金は3.5%も減っています。

それでも政府は雇用の数が増えているから、個人部門全体の所得は増えたと言います。しかし、総務省の「労働力調査」によると、この3年間の雇用増加数は2.8%で、1人当たり3.5%の実質賃金減少をカバーできません。

しかも、雇用増加の過半は「非正規労働者」によります。

国税庁の調査によると、2014年度の非正規労働者の年収は平均169万円で、正規労働者の3分の1です。企業は安倍政権下での雇用関連法の改善により、コストの安い非正規労働への傾斜を強めたため、企業の従業員への給与支払額は、安倍政権下ではむしろ減少しています(財務省「法人企業統計」)。

これでは個人の暮らし向きは良くならず、消費が減るのもうなずけます。

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