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「OTMオプションの大量売り」ができるプロとできない一般投資家の“差”=田渕直也

早めの損切は勝率を低めるが――

損失確定についても同様の論理が成り立ちます。

損失を確定させることは、利食いの場合とは逆で、ランダムウォークの世界でも勝率を低める効果を持っています。

ですが、何回かに一回は、自己増幅的フィードバックが自分のポジションと逆方向に回り始めたときに“思わぬほどの大きな損失”を被るリスクを減らしてくれます

私は、トレードをするうえで心得ておかなければならないことを1つだけ挙げよといわれれば、迷わずに「大きな損失をなんとしても避けること」を挙げます。

“思わぬほどの大きな損失”を一度でも受けてしまえば、そこから立ち直るには大変な時間とエネルギーを消費します。それ以上に、投資資金が尽きたり、投資への意欲や再チャレンジの気持ちが失われてしまって、通算成績が大きくマイナスに傾いたときに投資から身を引くという結果にもなりかねません。そうすると、その人の投資人生は負けが確定するわけです。

実際に投資に失敗する人たちは、基本的にそういうパターンをたどることがほとんどだと思います。そういう意味では、「投資で失敗する」というのは、相場を読み違えるというようなことではなく、負けた状態で身を引くことに他ならないのです。

「大きな損失」にまつわる私の経験談

私自身の話をすれば、実は私も大きな損失を出した経験が二度あります(小さな損失なら数えきれないほどにあります。念のため)。

一度目は、銀行のディーラーとして相場を張っていたころのことです。ディーラーは大負けすると、普通は他の部署に異動になって、相場の世界とはそれっきりになるものなのですが、私の場合は、それまで好成績だったこともあって、幸運にも再チャレンジの機会を与えられました。

それに加えて、大負けしたことで相場への意欲や関心を失うことがなく、むしろ一層に意欲と関心を掻き立てられたことが、今に至るまで相場と付き合ってこられたことにつながっています。

ちなみに、失敗からは多くのことを学ぶことが出来ます。私もこのときの経験がきっかけで、

  • 相場の本質とは何なのか
  • 将来の予測は果たして本当にできるのか
  • 予測できないとしたら、その予測不能性の中でどうポジションをとるべきなのか

といったことを真剣に考えるようになったのです。

もう一度は、ずっと後に、個人の資産形成でちょっと欲を出しすぎて自分なりのルールを逸脱し、大きな損失を被ったということがありました。そのときは、相場の本質やトレードのやり方について、だいぶ分かったつもりではいたのですが、頭ではわかっていたはずの落とし穴にはまってしまったのです。

この時も、相場への意欲や関心は失われずに済みましたが、投資資金は打撃を受け、その損失を取り戻してより積極的にトレードしていける状態になるまでにはかなり長い時間とエネルギーを消費してしまうことになりました。

こうした大損失が起きる可能性は、無茶さえしなければ、必ずしも高くはありません。だから、早期の損失確定は、感覚的には裏目に出ているように感じられることも多いでしょう。相場が戻った後で、「あのとき損切りなんかしなければよかった」と思うことが頻繁に生じるわけです。

でも、ときには思わぬ相場変動が起きて、“あれよあれよ”という間に損失が膨らんでいく可能性があります。そして、その“あれよあれよ”が取り返しのつかない事態を招きます

それがたまにしか起きないことでも、起きてしまったあとでは取り返しがつかないのです。ですから、いついかなる時にでも、大損失を絶対に避けることを最優先で考えなければなりません

さて、ここまで、期待リターンで考えようということを言ってきたわけですが、期待リターンはあくまで計算上のものです。それを現実の人の行動に当てはめて考えていかないと、それは絵に描いた餅に終わってしまう可能性があります。

たとえ期待リターンがプラスのやり方を見つけても、それは何度も試していかなければ期待リターンは姿を現しません。その途中で、思わぬ大損を被ってトレードをやめてしまえば、そのプラスの期待リターンはその人には結局何の意味も持たなかったことになります。

損失の早期確定は、そうした事態を防ぐためのものです。その裏返しとして、勝率は下がります。その勝率の低下は、受け入れなければいけないものなのです。

Next: 職業ディーラーと一般投資家のトレードには本質的な違いがある

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