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「OTMオプションの大量売り」ができるプロとできない一般投資家の“差”=田渕直也

職業ディーラーと一般投資家のトレードには本質的な違いがある

以上の話は、実は一般投資家向けのものです。相場の世界はプロにもアマにも共通の土俵の上で繰り広げられるものですから、投資理論やトレード手法にプロ向けやアマ向けというものは、本来は存在しないはずなのですが、実際には存在するのです。

一般投資家は、短期間で大儲けしてパッとそれを使えればいいというような刹那的な目的でない限り、基本的には長期的な通算損益をいかに高められるかが一番重要な基準ですよね。

これに対して、プロは、評価を受ける一定期間の間にどれだけの利益を上げられるかが一番重要な基準です。そして、時間軸や評価基準が異なれば、トレードのやり方も当然異なってきます。

例えば勝率。

長期の通算損益の最大化を目的にする場合、勝率にはほとんど意味はありません。今まで言ってきたように、勝率の変化によって勝った時の平均利益額や負けた時の平均損失額が変化するからです。

でも、プロにとっては、短期間での勝負ですから、勝率は決して無視できません。負けが込むと評価が下がってしまうわけですね。

また、大きな損失についても同様です。

一般投資家にとって大きな損失は致命的なものになりかねませんが、プロにとっては必ずしもそうではありません。自分のお金ではないからです。

日本の金融機関であれば、トレードで大損を出しても、他の部署に異動になるくらいで、会社をクビになるわけではなく、人生が終わるわけでもありません。

外資系ならばたぶんクビになるでしょうが、外資の世界では「トレードの勝ち負けはある程度、運に左右される」ことが当然のこととして理解されているので、他の会社で大損をした人を採用して再チャレンジさせてくれるところもたくさんあります。

そうすると、うまくいけば利益の10数パーセントをボーナスとしてもらい、損を出したら別の場所で再出発ということが可能になるわけです。個人にとって利益は青天井で、損失は限定的という完全に非対称な関係になるわけですね。

ちなみに、外資系のディーラーやヘッジファンドマネージャーがときにとてつもないリスクを負って大勝負に出るのは、この利益と損失の非対称が大きな要因です。まあ、これがときに相場に大混乱を引き起こす要因ともなりえるのですが。

いずれにしても、プロは、長期的な通算損益というよりも、短期間で利益を上げられる可能性の高いやり方を採用することがその目的に叶うわけです。

Next: なぜプロは「OTMオプションの大量売り」に踏み切れるのか?

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