今年1月~7月にかけての日本のコメの輸出量が、去年の同じ時期より20%以上増えたと報じられたことが、大きな話題となっているようだ。
農林水産省によれば、今年7月までのコメの輸出量は2万4,469トンにのぼるといい、去年の同じ時期より23%増えているとのこと。これは同省が集計を始めた2014年以降、この期間として最も多い輸出量だという。
輸出先では香港が最も多く、次いでアメリカ、シンガポールと続いているとのこと。農林水産省は、現地の日本食レストラン向けのコメの需要が拡大していることが、輸出拡大の背景だとしている。
直近4年間で倍増しているコメの輸出量
政府がことあるごとに「コメの民間在庫は豊富にある」としきりにアピールしているにも関わらず、なぜか全国的に“コメ不足”だと叫ばれ、スーパーの米売り場はもち米や玄米がわずかに並ぶだけでスカスカ……といった事態が続いている昨今。
このような状況に対し、巷では過去の減反政策に代表される農政の失策が招いたものだとの批判が飛び交い、さらに政府が常に抱えている「備蓄米」を、なぜこの一大事に放出しないのかといった声もあがっているところなのだが、そのようなタイミングで報じられた今回の“コメの輸出量が増加”というニュース。
それだけにSNS上では、「コメ不足は、補助金を出して安く輸出してたからだった」といった、要はやはり国の失政が原因だったのだといった反応も、一部からはあがっている状況だ。
んで米不足。だからぁ何なんこの国!
1~7月の日本のコメ輸出量が過去最高にhttps://t.co/ISTLPJ2fKz pic.twitter.com/wVmJWayHLr
— himuro (@himuro398) September 3, 2024
1~7月の日本のコメ輸出量が過去最高に
そーゆー事なんです。輸出して米不足(笑) https://t.co/xsOJniEmJG
— BULLET (@nbe222) September 3, 2024
♀米不足は、補助金を出して安く輸出してたからだった
コメの1~7月輸出量、23%増の2万4469トンで過去最高…輸出用は国内向けに転用できず : 読売新聞オンライン https://t.co/Vf2iZXvKiC
— 波(ナミ)ⅲ♀️ (@nami4530_3) September 3, 2024
人口減などが原因として、日本国内におけるコメ消費量の落ち込みが続くなかで、近年その取り組みが国を挙げて行われているのが、コメの海外への輸出。
海外の日本食レストランやおにぎり店などへの需要開拓を積極的に進めた結果、ここに来てコメの輸出は大きく増加しているといい、2023年の輸出額は94億円と直近4年間で倍増する結果になっているという。
いっぽうで農林水産省では、輸出用のコメを作る農家には、10アールあたり最大4万円の補助金を支払って、作付け転換を促してきたということ。ただ、補助金を交付したコメは用途が決められており、国内向けに出荷した場合は、補助金の返還が求められるというのだ。
米騒動の論点は品薄から価格高騰へ?
そのため国内のコメ不足を尻目に、輸出量は大いに伸びるという、何とももどかしい今の状況が発生しているということなのだが、もっとも輸出量が伸びているといっても、その実際の量は先述の通り、今年の1月~7月分で2万4469トン、また2023年全体の輸出量も3万7186トンといった程度。
ちなみに、国内のコメの生産量はというと、2023年産で716.6万トンだったということ。つまり輸出されるコメの割合は、国内で生産されるコメの量のわずか0.5%程度の水準ということで、このことからも海外への輸出増加が国内のコメ不足を招いているという推論は、かなり無理があるといっても良さそうである。
このようにして、その明確な理由がハッキリとしないまま続いている感もある昨今のコメ不足ではあるのだが、そうこう言っているうちに市場には新米が出回るタイミングに。
3日に記者会見を行った坂本農林水産大臣も、近くコメ不足の状態が解消することに期待感を示したというのだが、その反面で新米の価格に関しては「この品薄状態の中で平年よりも多少の割高感はあると思う」とコメントしたとのこと。
各地のJAがコメの生産者に前払いする概算金が、このところのコメの品薄状況を背景に、前年に比べ2~4割ほど上昇しているといい、このことが価格上昇に繋がるとのことなのだが、このような状況を受けて、やはり備蓄米の放出は必要だ……といった声も、依然として一部からはあがっているよう。
新米さえ出回れば一気に終息へ……といった見方もあったこのところの“米騒動”なのだが、これまでの品薄状態から今後は価格高騰へと争点が移る形で、しばらくは継続していくことになりそうな情勢だ。
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