中国の企業債務残高の積み上がり方は「異常なペース」
中国は他の国を圧倒するスピードで企業債務残高を積み上げています。しかし、債務残高がいくら多くなっていても、経済全体のGDPが伸びていれば、問題はありません。対GDPの比率という点からチェックしていきましょう。
三井住友アセットマネジメントがまとめた資料によると、中国の企業債務残高は2008年から一直線に伸びています。さらに、対GDP比でも他国を圧倒する勢いで伸びています。

出典:世界の企業債務残高/企業債務残高の対GDP比 – 三井住友アセットマネジメント
具体的な数値データを拾うと、下記の通りです。
<中国 名目GDP(概算)>
2008年 | 4.0兆ドル |
2009年 | 5.0兆ドル |
2010年 | 6.0兆ドル |
2011年 | 7.4兆ドル |
2012年 | 8.4兆ドル |
2013年 | 9.5兆ドル |
2014年 | 10兆ドル ←ここから伸びなくなった! |
2015年 | 10兆ドル |
2016年 | 11兆ドル ←IMF推計 |
<中国 企業債務残高(概算)>
2008年 | 4兆ドル |
2009年 | 5兆ドル |
2010年 | 6兆ドル |
2011年 | 8兆ドル |
2012年 | 10兆ドル |
2013年 | 13兆ドル |
2014年 | 15兆ドル |
2015年 | 16兆ドル |
<中国 企業債務残高の対GDP比(概算)>
2008年 | 100% |
2009年 | 100% |
2010年 | 100% |
2011年 | 125% |
2012年 | 125% |
2013年 | 145% |
2014年 | 150% |
2015年 | 160% |
2010年頃までは中国のGDPと企業債務残高はほぼ一致していました。ところが、中国経済は2014年頃から伸びなくなったのです。
一方、企業の債務残高はどんどん増加しています。2016年の名目GDPも、それほど伸びない見込みです(IMF推計)。
経済全体の規模であるGDPが伸びていないのに、企業の借金だけが増えていっている!これは明らかに良くない傾向です。
借金には利子がつき、その利子すらも払えなくなると、借金は複利で増えていきます。2014年頃から中国はその状況に陥っています。
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