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米国が元凶。世界と日本が大不況と金融危機に陥る5つのシナリオ=高島康司

シナリオ2:米国債危機(債務上限問題の混乱で米国債格下げ)

・発生確率
中(30%〜50%)

・危機の背景
アメリカの財政赤字は年間2兆ドル超。累積債務はGDPの130%に迫る。米国の国債残高は36.2兆ドルに達し、そのうち9.2兆ドルが2025年に満期を迎える。

「債務上限引き上げ問題」を巡ってトランプ政権が議会との交渉を拒否する。そして、政治的混乱が拡大。トランプ政権下では、債務上限問題を政治カード化する可能性が高く、危機再発の懸念は強い。いまのところ、米国債の格下げは50%前後。技術的デフォルトや市場暴落に直結する可能性は20%から30%程度。

・危機のトリガー
米議会が債務上限引き上げに失敗し、技術的デフォルトが発生する。その結果、格付け会社が米国債を再度格下げする。AA+からAなど。「Fitch」や「Moody’s」、そして「S&P」の格下げリスクはすでに現実化の一歩手前。

・波及経路
米国債価格が急落して利回りが急上昇する。その結果、金融機関の保有債券に含み損が発生する。これでドルの信認が低下して、外資と米資産の売却が発生。ドルの国際的な資本流出が加速する。そして、ドルが暴落する。

・結果
世界的な信用不安が発生し、米ドルの基軸通貨性に挑戦が始まる。

シナリオ3:消費者債務危機からクレジット市場の崩壊へ

・発生確率
中(25%〜40%)

・危機の背景
2025年初頭、消費者の債務残高が増加し、特に低所得層の家計が圧迫されている。特に学生ローンの支払い再開や高金利環境で、消費者の返済能力は低下している。米国債の下落などで金利が上昇すると、クレジットカードや自動車ローンの延滞率が急増。学生ローンの支払いによって家計が圧迫される。

クレジットカードの延滞率は、2024年末で過去10年で最高になっている。さらに自動車ローンと学生ローンの返済遅延も増加中。ただし、住宅ローン市場は堅調であり、サブプライム型の全面危機には至っていない。

・危機のトリガー
クレジットカードや自動車ローンの延滞率が上昇し、金融機関の損失が拡大。その結果、大手消費者金融やクレジットカード会社の債務不履行が発生。また、サブプライム型の「ABS(資産担保証券)」市場が崩壊する。

・波及経路
ローンの延滞率や支払い不能の上昇から信用不安が発生する。これが原因で消費者向け融資が停止する。その結果、家計支出の急減し、GDPの70%を占める消費が崩壊する。

・結果
リーマン級の信用収縮が再現する。その結果、景気後退に陥る。2008年から2009年の金融危機と同じような状況。危機が起きるとすれば、中所得層以下の債務圧迫による「ボトムアップ型危機」となる。

Next: まだある絶望的なシナリオ。日本経済への影響は…

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