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米国が元凶。世界と日本が大不況と金融危機に陥る5つのシナリオ=高島康司

アメリカの主要な金融機関や経済紙などから、これから起こる可能性のあるアメリカの不況と金融危機のシナリオが発表になっている。それらは5つある。これをまとめたので紹介する。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2025年5月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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どんどん出てくる米経済の悪化を示すデータ

インドとパキスタンの緊張、ウクライナ戦争、ガザ戦争、ヨーロッパの極右の躍進など世界ではさまざまな出来事がすごいペースで起こっている。これら世界の他の地域に関する記事を書くつもりであったが、やはり今回もトランプ政権下のアメリカについて書くことにした。やはり、日本に対する影響はあまりに大きいので、情報をしっかりと知っておくことが重要だからだ。

日本の主要メディアではあまり積極的には報道されていないが、米経済の急速な悪化を示すニュースが毎日あふれている。トランプ政権になってから、経済に関してはろくなニュースがない。

その中でも特に際立っていたのは、「コンファレンス・ボード(CB)」の発表だ。「コンファレンス・ボード(CB)」とは、アメリカの民間調査会社、「全米産業審議会(CB)」が毎月、現在の景気、雇用情勢や6カ月後の景気・雇用情勢・家計所得について5,000世帯を対象にアンケート調査し、1985年を100として指数化したものだ。個人消費の先行指数化として重要視され、アメリカの消費者心理をリアルに反映した指標と認識されている。

4月29日に「コンファレンス・ボード(CB)」が発表した4月の消費者信頼感指数は86.0と、前月から7.9ポイント低下して、コロナの拡大が始まった2020年5月以来の低水準となった。エコノミスト予想の87.5も下回った。関税に対する懸念が経済見通しの重しとなっている。

現在の景況感を示す現況指数は0.9ポイント低下し、133.5となった。所得や労働環境の短期的な見通しを示す期待指数は12.5ポイント低下の54.5だった。これは2011年10月以来の最低水準であり、景気後退入りを示唆する80を大きく下回っている。

消費者は労働市場についても懸念を強めている。職が「十分」と「就職困難」の回答から算出する労働市場格差に関する指数は15.1となった。前月の17.5から縮小した。また、今後6カ月の見通しを示す期待指数は2011年以来の低水準に沈んだ。現況指数も下がった。

「コンファレンス・ボード(CB)」のデータは、ミシガン大学による消費者調査の結果と傾向が一致。関税引き上げが経済と雇用市場に打撃を与え、経済の押し下げにもつながるという消費者の不安の強まりを示している。

企業経営者からは、消費者信頼感の低下が需要減少を招くとの懸念が示されている。一方で関税により、消費者は今後さらなる価格上昇を覚悟すべきだと警告する声も出ている。

米国の深刻な不況と金融危機を示す5つのシナリオ

このように、米経済の悪化を示すデータが相次いでいる。エコノミストによっては米経済の深刻な不況入りと金融危機の発生は、もはや回避できないとする意見も多くなっている。米経済の将来を楽観視する観測はほとんどなくなっている。

そのような中、大手の金融機関やメディアから、米経済の不況と金融危機の発生をシミュレートしたシナリオが発表されている。アメリカがどのように不況に入るのか、シナリオはさまざまだ。

そこで今回は、これらのシナリオを5つに整理して掲載する。「The Economic Times」「Finbold」「credaily.com」「Financial Times」などのメディア、「KPMG」「Goldman Sachs」「Morgan Stanley」などの大手の金融機関、またJimerson Birrのようなエコノミストが情報源だ。

以下の5つのシナリオである。

シナリオ1:商業用不動産危機から地方銀行連鎖破綻へ

・発生確率
高(40%〜60%)

・危機の背景
2025年には約9,500億ドルの商業用不動産ローンが満期を迎え、再融資が困難になる可能性がある。地方銀行の多くが商業用不動産への過度な融資を抱えており、特にオフィス物件の空室率上昇と評価額下落が問題視されている。

・危機のトリガー
大手「REIT(不動産投資信託)」の債務不履行が発生。地方銀行の破綻が相次ぎ、信用収縮へと波及。中小企業への融資が滞り、経済全体への悪影響が懸念される。

「Moody’s」「MSCI」などの報告で2025年は「CRE(商業用不動産)」融資の返済難が最大になる年と予測。地方銀行の「CRE」依存度が高いため、数行の破綻はほぼ不可避となる。地方銀行1から2行の破綻(例:First Republic Bank再来)。

単発の銀行破綻は高確率。連鎖破綻に発展するかは「FRB」の介入速度に依存するが、「FRB」を信頼していない現在のトランプ政権では、「FRB」の動きを止める懸念もある。

・波及経路
銀行の貸し渋りから中小企業倒産増へと発展。預金引き出しからパニック的な「取り付け騒ぎ」につながる。そして、金融システム全体への信用不安が拡大する。

・結果
地方銀行破綻100行以上、株式市場急落、信用収縮が発生。中小企業への融資が滞り、経済全体への悪影響が懸念される。「FRB」の緊急資金供給が期待されるも、トランプ政権下では実施できるか不明。

Next: 不況入りは確実?金融危機の始まりを示す残り4つのシナリオとは

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