安全も水も金で買う時代に、日本人は「情報」をタダだと思っている
1970年にベストセラーとなったイザヤ・ベンダサンの『日本人とユダヤ人』のなかに、「日本人は安全と水をタダだと思っている」という記述がある。それから50年近く経った今日、安全も水もお金を払って購入するのが当たり前の社会になった。
その中で、今でも日本人がタダだと思っているのが「情報」である。タダで得られる情報は、もともと価値が乏しいか、裏側に請求書が付いているかのどちらかのはずで、質の高い情報を得たいのであれば「情報」にお金を出して購入する必要がある。
「情報はタダではない」
こうした認識が当たり前になれば、今回のようなキュレーションサイトの問題は自然と収まっていくはずだ。
情報を得るには「コスト」がかかる
ネットで溢れている情報は、怪しげなものも含めて「情報」である。そうした情報の真贋を確かめるには、自分自身で真贋を見極めることができる審美眼を身につけるか、コストを払って情報を購入するかどちらかである。どちらにしてもコストをかけることになる。
著作権侵害の管理などサイト運営者が法令を遵守することは当然のことだが、読者側が、誰かが真贋を見極めてくれた質の高い情報だけをタダで手に入れようと思う限り、こうした問題がなくなることはないはずである。
心しておかなければならないのは、まとめサイトの質向上だけでなく、読者側の質向上も求められているということだ。
新刊発売のお知らせ
秀和システムから『アラフォー独身崖っぷちOL 投資について勉強する』が発売されました。
マイナス金利政策など日銀の金融政策や年金に関する話の他、「資産形成」と「資産運用」の違いや、「若いうちはリスクが取れる」「ドルコスト平均法が最強」「初心者は分散投資」といった、「投資の常識」 だと思われていることにも切り込んでいます。
金融リテラシー向上を目指している方、資産形成を考えられている方は是非。
『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2017年3月27日)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
近藤駿介~金融市場を通して見える世界
[無料 ほぼ 平日刊]
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動してきた近藤駿介の、教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝えるマガジン。