バンク・オブ・アメリカを日本で買った場合と米国で買った場合
今度は米国の大手銀行であるバンク・オブ・アメリカ(以下、BAC)の株価と為替リスクの関係を調べていきます。
BACはニューヨーク証券取引所と東京証券取引所の両方に上場しています。東証の外国部に上場していて、日本株と同じように取引できます。
<BAC日本株>銘柄コード:8648
<BAC米国株>ティッカーシンボル:BAC
BAC日本株は通貨「円」で取引されていて、税制も日本のルールが適用されます。
さて、ニューヨーク証券取引所に上場しているBAC米国株を保有する場合、どのぐらいの為替リスクが生じるのでしょうか? 先程と同じように計算してきます。
<バンク・オブ・アメリカの株価 2007年2月末~2017年2月末(10年間)>
株価の推移を確認すると、似たような動きをしています。
バンク・オブ・アメリカ株は、東京証券取引所に上場している株も、ニューヨーク証券取引所に上場している株も単位は同じです。つまり、単純に上記のグラフに為替レートを調整すると、同じ土俵での比較ができます。
その結果がこちらです。
<バンク・オブ・アメリカ BAC日本株 VS BAC米国株 (直近10年間)>
もうほぼ同じ値になっています。差額の割合を見ても、それほど大きくはありません。
<差額の割合 2007年2月末~2017年2月末(バンク・オブ・アメリカ)>
2007年と2008年の差額割合が大きくなっていますが、これは金融危機に見舞われた影響でBAC日本株の出来高が低調だったためです。トヨタ自動車よりもやや差額が大きくなっていますが、それでも概ね±2%の範囲に収まっています。
長期投資家は、外国株を保有する際に為替ヘッジをする必要はありません。為替の変動で生じた利益も損も、即座に株価に反映されます。市場では短期売買でサヤ取りをするプレイヤーが一定数、存在しているので、自動的に調整されるのです。そのため、投資家はその企業が所属している国に関係なく、その企業自体から発生する利益の分け前をもらえます。
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