fbpx

世界の長期金利が過去最低を更新している不思議=久保田博幸

米国の過去最低更新は何かがおかしい

米国についてはFRBの利上げが6月に見送られ、英国のEU離脱の決定で7月も無理、年内も無理かもといった観測で、米10年債の利回り低下が起きたとしたとしても、過去最低更新はやはりおかしい。

それほど米国のファンダメンタルズが悪化しているわけでもない。強いて言えば世界的な長期金利の低下の流れに乗っかっている格好ではなかろうか。米利下げが一部に出ていたようであるが、さすがに利下げをしなければならないほど米国経済が悪化しているようには見えない。

スペインの10年国債利回りが過去最低というのも腑に落ちない。

もちろんこれは世論調査に反して与党が議席を伸ばした先週の総選挙の結果を受けての影響はある。それ以前に2012年7月に7%を超えていたスペインの10年債利回りが低下したのは、欧州の信用不安による危機が後退したためである。

しかし、スペインの10年債利回りが1.047%まで低下して過去最低を更新するというのはあまりに極端すぎる。こちらもドイツの国債と同様に、ECBが大量の国債買入とともにマイナス金利政策を導入したたともいえる。

ファンダメンタルズはさておき、大きな世界的な危機はスペイン国債利回りの低下をみても完全に後退しているはずである。しかし、その危機のため対応策として行った非伝統的な金融政策をむしろ拡大させている。

特に日銀とECBがこの異常な日米欧の国債利回りの低下を招いているともいえるのではなかろうか。この世界的な国債バブルの行き着く先はどこなのか。その鍵を握っているは意外に日本国債というか日銀なのではないかと思われる。


※『牛さん熊さんの本日の債券』は、毎営業日の朝と夕方に発行いたします。また、昼にコラムの配信も行ないます。興味のある方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初の購読は特にお得です!

【関連】英国EU離脱ショックとリーマン・ショック、たった1つの大きな違い=久保田博幸

【関連】ヘリコプターマネーの危険性~巨額債務は国民の預金で返済すべし?=久保田博幸

1 2

牛さん熊さんの本日の債券』2016年7月4日号より
※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

牛さん熊さんの本日の債券

[月額1,100円(税込) 毎週月・火・水・木・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
金融サイトの草分け的な存在となっている「債券ディーリングルーム」の人気コンテンツ、「牛さん熊さんの本日の債券」がメルマガとなりました。毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを会話形式にてお伝えします。さらっと読めて、しっかりわかるとの評判をいただいている「牛さん熊さんの本日の債券」をこの機会にぜひ御購読いただければと思います。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー