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公的資金注入は時代遅れ。IMFがイタリアに仕掛ける「詐欺」の新手口

迫るドイツ銀行の破綻

ギリシャは34%、アイルランドは19%、ポルトガルは12%の債務不履行の銀行ローン(回収の見込みが立たない銀行の貸出資金)を抱えています。

これは、事実上の国家の破産状態を意味します。

にもかかわらず、これらの国に対して、実効のある債務の再構築のための努力は何一つ行われていません。人々は、次の深刻な金融危機を知る由もないのです。

EUは、すでに事実上の破産状態にあるギリシャとギリシャの銀行の支払い能力を維持させ、ギリシャ発の債務危機ドミノがEUの他の国々に連鎖的に波及することを防ぐため、量的金融緩和というポンプで水(資金)を汲み上げ、せっせと通貨市場というプールに注ぎ込んでいるだけです。

このことが、結果として、EU全体の問題をさらに大きくしています。

ドイツ銀行はイタリアの銀行と同じように危険水域を突破しそうです。もちろん、ドイツ銀行はドイツ最大の銀行です。

それは2015年に70億ドルの損失を上積みしたにも関わらず、次の財政危機に至らないよう、なんら援助もないままに放置されています。

ドイツ銀行の株価は、2008年前半と比較すると89%まで下落し、2015年の水準と比較しても一気に62%も下落しているのです。

なぜ、ウォール街や欧米のメディアは、それこそEUが崩壊するかもしれない重大事に背を向けるような態度を取り続けているのでしょう。不気味です。

これらの金融機関に投資した投資家は、今、塗炭の苦しみを味わっています。

また預金者のほうも、ベイルインが実行されれば、進んでギロチンに頭を差し出さなければならなくなるのです。

それどころか、ドイツ銀行が破産すれば、それはメガトン級の衝撃波をEUのみならず世界中に広げるでしょう。

「CoCo債」を発行しなければならなかった理由

2008年の金融危機の後、ドイツ銀行は資本力を高めるために※CoCo債を発行しました。

CoCo債とは、銀行をはじめとする金融機関が発行する「制限条項が付いた転換社債(偶発転換社債)」のこと。

金融機関が一定の資本不足になると普通株に強制転換されたり、元本を削減されたりする点が普通の転換社債とは大きく異なり、投資家のリスクが高くなる分、投資家への利回りが高めに設定される。

2019年にかけて新たに導入される自己資本比率規制(バーゼルIII)において、上積みを求められる中核自己資本への算入が可能になったことから、金融機関で人気化している。

彼らは、株主が保有している株式、および債券保有者を希釈させたくない、という理由で※シニア債(優先社債)を発行しました。

債券は、それを発行した企業が破綻した場合、その企業の残余資産は、最優先で「一般無担保社債」、あるいは「シニア債(優先社債)」に割り当てられて支払われる。その支払いが済んた後で、「劣後債」に最後の残余資産が割り当てられる。

もし銀行に十分なキャッシュフローがあるのであれば、6%のクーポンが払われるだけです。

しかし、支払いができるだけのキャッシュフローがない場合は、CoCo債は自動的に資本金に転換されます。そのとき、CoCo債の保有者は、黙ってそれを見ているしか術がないのです。

高い利回りを期待してCoCo債を買った投資家は、その発行企業が破綻しそうになると、保有しているCoCo債は有無を言わさず資本金に変わるので、つまりは間接的に経営に参加させられることになるのです。

経営に参加させられるということは、その企業が破産したときは、応分の責任を取らされることになるのです。

だから、ドイツ銀行は、他の種類の債券ではなくCoCo債を発行しなければならなかったのです。

Next: シティバンクもHSBCも、世界中が同じ問題を抱えている

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