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公的資金注入は時代遅れ。IMFがイタリアに仕掛ける「詐欺」の新手口

バブル崩壊後の日本も経験した「ベイルアウト」とは?

忘れないでください。今年2016年が「ベイルイン元年」であることを。それは、私たちの資産が合法的に奪い取られるかどうか、に関わってくる話なのです。

EU加盟国の銀行は、去年まではベイルイン方式ではなく、別の方法で救済されることになっていました。

その方式が「ベイルアウト」です。

ベイルアウトを一言で言えば、「公的資金の注入による救済」ということになります。

日本における事例では、バブル崩壊によって膨大な不良債権が表面化し、二進も三進もいかなくなった日本長期信用銀行に8兆円もの公的資金(税金)が注がれた挙句、ハゲタカ外資に二束三文で売り飛ばされていった不良債権処理のプロセスに見ることができます。

潰すほかなかった長銀を、いったん身受けして国有化した後、8兆円もの税金を投入して、すっかり身ぎれいにしてあげた上で、ゴールドマンサックスのヘッジファンド、リップルウッドにタダ同然で売り渡したのです。

その後、旧・長期信用銀行は新生銀行と名前を変えて今に至っています。多くの国民は、このカラクリがいまだに理解できません。

このように、これまでは銀行が破綻するというときに、国が多額の税金を注入して救済してきました。この方法が、「ベイルアウト」です。

新たな詐欺の手口「ベイルイン」とは?

しかし、世界中の預金者は二度と騙されなくなっています。

ベイルアウトの本質が、自分たちの税金が国際金融資本家の金融機関に奪い取られることであると悟ったからです。

これから起こる世界金融恐慌では、連鎖的に巨大な金融機関がバッタバッタと潰れていくでしょう。すでに、めいっぱい量的金融緩和を進めてしまった西側各国政府には、公的資金を注入する資金的ゆとりがなくなっています

また、飽きもせず、同じ手口(ベイルアウト)を各国金融当局が使えば、今度こそ、世界的な暴動に発展するでしょう。

金融帝国の支配者たちは、全世界をカオスに導こうとしていますが、かといって、彼らがコントロールできなくなるような大暴動は避けたいと思っているのです。

そこで考え出されたのが「ベイルイン」です。

ベイルインとは、長期信用銀行の救済のときのように、国が税金を投入して銀行システムの秩序を維持するベイルアウト方式とは正反対で、破綻寸前の銀行が、株主や預金者のお金を合法的に奪い取って、そのお金を不良債権処理に充てることによって自らを救済する方式のことです。

ベイルインもベイルアウトも本質は国民への「ステルス増税」

国民からお金を強制的に奪い取る、という点では、本質的にベイルアウトもベイルインも同じです。

ただし、ベイルアウトの場合は、それが税金なので、国民は、自分たちのお金が没収されたという感覚が薄められているので自覚がないだけでなのです。

国民から奪い取られたお金は、税金(それは増税という形で表れる)であろうと、預金であろうと、国際金融資本家の失敗の穴埋めに使われることにおいては、同じことなのです。
(※臨時増刊号 2015/12/31【Vol.007】 「激変2016年!1月1日からベイル・インを導入する欧州と、預金者を完全に見捨てる米国」にて詳述)

このように金融機関の救済措置は、「ベイルアウト」から「ベイルイン」へ移っています。

ベイルインは、自分が参加している(それが銀行預金口座を開設しているだけの関係であったとしても)金融機関に対して、それぞれ応分の責任を負うべきだ、という考え方から来ています。

結局、その失敗だらけの金融機関の救済に半強制的に駆り出されることによって、再び新たなリスクを背負いこむことになる、という意味では、国際金融資本家たちの詐欺の無限地獄に引きずり込まれることになるのです。

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