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公的資金注入は時代遅れ。IMFがイタリアに仕掛ける「詐欺」の新手口

世界中が同じ問題を抱えている

つまり、ドイツ銀行の自己資本比率は、同銀行のステークホルダーさえも欺かなければならないほど悪化していたということなのです。それは、貸出資金の焦げ付き予想と、天文学的なデリバティブによるものです。

ドイツ銀行のCoCo債の利回りは、今では12%以上に上昇し、債券価格は大幅に値を切り下げてきました。これは、破綻が近いことを暗示しているのです。

一般の人々には、ドイツ銀行の危機が、いかに重大で深刻なのか、こうした債券の性質をひとつひとつを見ていかなければ分からないでしょう。

ドイツ銀行が、深刻なトラブルに見舞われているなら他の大手銀行も同じです。

ブレグジットの国民投票の前に、一般の債券が帳簿価額で取引されている間、破綻のリスクが、ますます増大し続けるこれらの銀行の有価証券の大部分は帳簿価額を下回る値で取引されていたのです。

すでに資産を次々と売却していたイタリアのバンカ・カリージェ(Banca Carige)などは、なんと、帳簿価額の3%で取引しているのです。

シティバンクは54%、スペインのバンコ・サンタンデルは58%、ドイツ銀行は59%、クレディ・スイスは63%、そしてHSBCは帳簿価額の69%で取引しています。 現在はさらに悪化しています。

そして、EUの銀行の中でも、もっとも高いレバレッジが効いていて、すべての資産が毒化されている銀行…。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS: 主に担保付デリバティブ。債券が紙くずになった時の保険。債券の信用度が高いと低く、反対のときは高い。このCDS自体も市場で売り買いされる)の取引状況から、もっとも高いエクスポージャーの銀行とは…。

それは、ドイツ銀行です!

「デリバティブ核爆弾」で焦土と化す市場

世界のデリバティブ残高は、2015年6月末時点で550兆ドルと見積もられています。ドイツ銀行は、その550兆ドルの“デリバティブ核爆弾”のうちの、なんと10%を保有しているのです。

言い換えれば、550兆ドルの10%のデリバティブ残高とは、ドイツ銀行が帳簿上で54兆7000億ドルのCDSを保有しているという意味です。

JPモルガンも、51兆9000億ドルのCDSがあり、決してドイツ銀行にひけを取っていません。

シティバンクは51兆2000億ドル、ゴールドマン・サックスは43兆6000億ドル分のCDSを持っています、そして、バンク・オブ・アメリカは27兆8000億ドル分を持っています。

市場は、すで破産状態にあるこれらの世界最大級のメガバンクについて、もっと深刻に受け止めなければならないのです。だからといって、未来を変えることができるということでもないのですが…。

でも、ベイルインがあるから大丈夫」ですって?確かに、あることはあります。でも、それは預金者の資産で充当されるのです。

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