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公的資金注入は時代遅れ。IMFがイタリアに仕掛ける「詐欺」の新手口

イタリアは「次のギリシャ」になるのか?

今年1月1日から、EU加盟国の金融機関にはベイルインのルールが適用されています。

しかし、「預金者から金を奪って銀行の損失の穴埋めに使え!」と言っている国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルドとは反対に、倒産しそうな銀行の預金者や株主に損失を生じさせないようにしようという動きも出ています。

つまり、ベイルインを適用しないようにしよう、という動きです。

「もし、EU加盟国の金融機関で広く実施されているストレス・テストの結果が、その銀行が財政的不安定安定に晒されていることを示した場合、イタリアの場合であれば、銀行の資本を増強するために公的資金の注入を検討する可能性が出てくるだろう」と言っているのは、国際通貨基金のイタリアへのミッションの責任者であるリシ・ゴヤル(Rishi Goyal)です。

しかし、彼は、このことを電話会議で述べただけであって公式の発言というわけではあません。(インディペンデント)

「これは、ベイルインのルールを適用して投資家たちに損失を誘発することのないようにと、イタリアとEUとの間で行われた交渉によるものである」とリシ・ゴヤルは言っていますが……。

「EU離脱ドミノ」の大きな火種

この発言の落とし穴は、「ストレステストを行った結果、金融システムの不安定性が定義されるのは、いったいどんな状況の時であるのか」そして「それを決定するのは、誰なのか」ということです。彼は、それについて明言しませんでした。

リシ・ゴヤルは、国際通貨基金の中にあっては、異端ともいえる人間です。

彼は、2013年、国際通貨基金の「ユーロ圏の救済基金による銀行への直接的な資本注入を早期に認めるよう域内政府に強く求め、この銀行支援に関して最初に損失が生じた部分の補償を各国政府に義務付ける」という強行案に強く反対してきた人間です。

とはいえ、結局はベイルインの実施につながったわけですが、これが今後、EU離脱ドミノの大きな火種になるでしょう。

なぜなら、これは、通貨をユーロに一元化することによってユーロ採用国から為替機能を奪い取っておきながら、いざ、その国の金融機関が破綻しそうになったら、「自国でなんとかしろ」というルールですから、ユーロ採用前から通貨が強い国はますます強くなり、ギリシャのような通貨の弱い国の経済は、ますます弱くなっていくことは、あらかじめ決まっていたことだからです。

金融帝国・ロスチャイルドのコントロール下にある国際通貨基金の狙いは、まさにそこにあるのです。それは、EU諸国の整理統合です。これはワン・ワールドへの道程にほかならないのです。

「イタリアには銀行危機など存在しない」の欺瞞

イタリアの公的債務は、すでに2015年にGDP比で132.6%と過去最高に達しています。これはユーロ圏内ではギリシャに次ぐ高い水準です。

英国の国民投票直前では、さらに公的債務は増えて、今年の暮れにはGDPの132.9パーセントという過去最高を更新すると見られていました。

しかし、欧州全体で広がっている現金の廃止を加速化する流れの中で、イタリアにおいても、未確認ではあるものの、キャッシュレスATMを普及させようという動きが出ている以上、一方的に債務が膨らんでいくのかについては議論の余地があります。
(※メルマガ第163号「EUの崩壊と米国の崩壊、暗号通貨がワン・ワールドに導く」で詳述)

何よりの問題は、イタリアの蔵相、ピエール・カルロ・パドアン(Pier Carlo Padoan)が悲痛な面持ちで訴えているように、イタリアの銀行が信頼を取り戻すことができるかどうかということです。

パドアン蔵相は、「イタリアには迫っている銀行危機など存在しない」と言います。

逆に賢明な人々は、芝居の苦手な彼にここまで言わせるほどの危機が目前に迫っている、と理解するようになったのです。

伝統的に、金融当局やパドアン蔵相のような金融の責任者が国民を安心させようとするとき、事態は正反対であり、彼らが政治的な生命をかけている場合であることを人々は、何度も目のあたりにしてきました。

つまり、パドアン蔵相の言う「イタリアには迫っている銀行危機など存在しない」というのは「真っ赤な大嘘」であるということです。

計画された「危機」は突然やってくる

この種のエリートが真実を言うことがあるとすれば、それは崩壊が起こるほんの数日前になるでしょう。そのとき彼らは、「事態が突然急変した」と前置きしながら苦悶の表情を浮かべるのです。

しかし、彼らは、とっくに国民から金を巻き上げる準備を整えているのです。

くれぐれも心に刻んでおいて欲しいのは、ベイルアウトの場合は公的資金を投入するので、ある程度、事前に情報を流しておいて国民の理解を得なければなりません

しかし、ベイルインの場合は、事前に情報が漏れてしまえば、それこそ取り付け騒ぎに発展して失敗してしまうでしょう。

なぜなら、ベイルインとは、銀行と金融当局が銀行の債権者に対して強行するクーデターだからです。
(※参考記事:メルマガ第147号パート2「2016年から始まる悪夢/見えてきた日本の資産バブルと戦争経済」)

ずはり言いましょう…イタリアは次のギリシャです。

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