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「ポケモンGO」と「国土学」=内閣官房参与 藤井聡

だからポケモンGO解禁直後、神社関係者がポケモンGOに対して「憤慨」しておられるニュースがいくつか流れていましたが(ネット上では見つかりませんでした)、それも至って当然の事なのです。

もちろん、「神社」が極端な例だとしても、それぞれの地に住み、その地に「根を張る」人々にとっては、その地は「かけがえのない大切な地」である以上、多かれ少なかれ、「神社関係者達の様な心持ちに」なることは当然あり得るのです。

例えば、自分の両親の墓地や、自分の家の仏壇にモンスターが出るからといって、そこに人がたかっているのを見れば、決して快くは思わないでしょう。あるいは、長らく大切にし続けてきた公園にモンスターを探して、さながらゾンビの様に徘徊する人が数百人もたむろしている光景を見れば、違和感を感ずるとしても無理からぬことでしょう。

つまり、私たちはやはり、何もかもドライになってしまったこの現代ですら、この地理空間に「歴史的意味」を付与し、その上で、それが完全に「溶解」「蒸発」してしまわないように、その「意味」を守り続けようとしてしまっている――のです。

そしてさらに言うなら、それぞれの地の意味を守る私たちの何気ないそうした日々の振る舞いが、私たちの村や街、そしてこの国を、豊穣なる「意味」を宿した存在にせしめているのです。そして、そうした歴史的地理空間によってはじめてこの「社会」が支えられ、人が人として生きていく縁を得ているのです――つまり大袈裟に言うなら、まさにそういう

「土地に対する意味─村・街・国の成立─社会の成立─人間の成立」

という「構図」が、未だに厳然と存在しているのです(詳しくは、拙著『国土学』の第三部をご一読ください)。

そして、その構図を、ポケモンGOという娯楽のためだけのゲームが、その根底から溶解せしめている――というより、そもそも溶解しつつあったその溶解の速度を「加速」させているのです。

以上、いかがでしょうか?

なかなか言語化しにくい事を、あえて言葉で説明しようとすると、当方の力量不足もあり、ややこしくなってしまい、誠に恐縮です――が、簡単に言うと、次の様なオッサンを一人、想像していただければそれで事足りると思います。

「なに?ポケモンGO?なんじゃそりゃ。」
「えっ?なんかその辺に化けもんがいるって?はぁ?いるわけねぇだろ!?」
「何アホなこといってんだ。まぁ、子供はそういうアホなの、喜ぶんだろうねぇ……」
「……えっ?大人がやってる?はぁぁぁ???そいつ、ばかじゃね?最近の大人、よぉわからんなぁ。」
「……え”っっっ!???そういう大人がメッチャ多いの!???もう、世も末だねぇ」

……という方の感覚の根底にあるものを言語化したのが、本稿の議論でしたw

ただし。。。。ゲーム世代の当方にしてみれば、ポケモンGOがもし、世の中で見向きもされないゲームだったとしたら、時間さえ有れば、喜んでやってるかも知れません。なんと言っても、ごく一部のマニアだけがやってる分には、そんなゲームで付与される「意味」なんて、歴史的地理空間で付与され続けた伝統的意味によって、容易く駆逐されるからです。

。。。。ということで皆さん、ポケモンGOをやるなら、自他の「身体」だけでなく、歴史的地理空間で何百年、何千年問いう歴史の中で付与された「伝統的意味」に十二分以上の配慮と敬意をもって、遊んでください。

遊びは、遊び、なんですから、広義の「迷惑」をかけないように、よろしくお願いします。

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