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アベノミクスの好循環を加速するための「格差是正・税制」=内閣官房参与 藤井聡

こちらのグラフをご参照ください。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=837526556348289&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=3&theater

このグラフの横軸は「所得」です。

そして、「太線」グラフは、「所得に対する、支払っている“税”の割合」(所得税負担率:左軸)(平成25年時点)。

ご覧のように、所得が1億円程度までは、この太線(所得税負担率)は確実に右肩上がりに上昇していきます。収入が200万円程度の方々の税率は、3%程度、ですが、1千万円では10%程度、2千万円程度なら2割弱、そして1億円程度なら3割弱、となります。

しかし――1億円を超えるとその割合は急激に、急激に右肩下がりに

減少

していきます。

1億円の所得の場合は3割程度の税金を納めている一方、5億円の所得の場合は2割強、そして、50億円の場合は、たった1割強しか税金を納めていない、という状況にあります。

つまり、今日本では、1億円までの所得の方々には確かに「儲けている人ほど、高い税金を払っている」のですが、それを超える高額所得者達は、「オカネを儲ければ儲けるほど、払っている税率は低くなる」という状況にあるのです!

なぜこうなっているのかと言えば、このグラフの「点線」に示したように、所得が1億円以下の人々は、「金融所得」は数パーセント程度しかないのですが、それを超える高額所得者では、その所得の大半を「金融所得」で得ているからなのです。

いずれにせよ、こうした事情から我が国では「金持ちほど税率が低い」という状況にあるのですが、この「逆進的」状況を放置し続けることそれ自体が、日本経済の成長の「障害」となっていることになります。

だからこそ、この「高額所得者ほど税率が低くなる状況」を解消し、そこで得られた税収を広く国民一般に「活用」(=財政支出)していくことで(所得が再分配され、それを通して)、成長が促進される事となります。

そのためにはいくつかの方法が考えられますが、中でももっともシンプルなのが「金融所得課税」を、現状20%を例えば30%にする、という方法です。

そうすればどうなるかを、簡単に計算してみた結果が、下記グラフです。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=837636426337302&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=3&theater

ご覧の様に、株の売買や配当で得た所得に対して一律30%にした場合、「おカネモチほど税率が低い」という状況は、ほぼ解消することになります。

だから、こうした税制を導入すると同時に、得られた税収を有効利用していけば「格差是正」が図られ、アベノミクスの好循環が加速し、経済成長が促されることは必定なのです。

なお、こうした考え方は既に、次期の有力米国大統領候であるヒラリー・クリントン氏に主張されているものです。

例えばヒラリーは、「家計の所得を増やしていく」事を目的として、キャピタルゲイン課税(金融所得課税の内、キャピタルゲイン=株式の売買によって得た利益に対する課税)を強化する事を、「経済公約」に掲げて、現在の大統領戦を戦っています。
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/us150805.pdf

なお、現状のアメリカのキャピタルゲイン課税は、23.8%(1年以上保有の場合)~43.4%(1年未満保有の場合)であり、一律20%の日本よりも、高い水準であることを付記しておきます。

つまりヒラリーは、「今日の日本よりもより高い税率のキャピタルゲイン課税」を、「さらに強化・上昇」させていくことを企図しているのです!

そう考えるなら、グローバルスタンダードからいえば、我が国の金融所得税は、

低すぎる状況

にある、とすら言えるわけです。

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