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それはジョブズの夢。日本のスイカが「世界共通乗車券」になる日=岩田昭男

Suicaは「世界共通の交通乗車券」になる

書籍の第6章ぐらいから金融決済の話が中心になり、「盟主交代でVISAが打撃を受ける」などいろいろと書くことになったが、やはりこの本の中心テーマは、Suicaとアップルが世界共通の交通乗車券になるということだ。なので、そちらの方に話を振りたい。その方が断然面白いし、関心は高い。

金融決済分野の盟主争いについては、いずれアップルが優位に立ち、仕切るようになるだろうから心配は要らない。もうアップルの関係者は、そんなことはどうでも良いと思っているに違いない。

保守的な金融業界を好まなかったジョブズによる改革

スティーブ・ジョブズがなかなかApple Payを出さなかったのも、金融の既成勢力に取り込まれるのをいさぎよしとしなかったからだろう。だから、もっと自由で手垢のついていない、それでいて決済の絡む、交通乗車券分野に出て行く決心をしたのだ。

それでは、実際にアップルがどんなことを考えているのかについて考えたい。

まず前提として、Suicaの進化を助けることに力を注ぐだろう。具体的にはSuicaが国境越えて羽ばたけるように、すべてのiPhoneにFeliCaを搭載し、世界共通の規格にすることを目指すはずだ。またそれによってアップルのキラーコンテンツ、標準装備の電子マネーがSuicaであることを世界に広く告知する。

いずれは世界のどの公共交通機関でも、Suica1枚でタッチすればすべて乗れるといった環境を作りたいと思っている。そこにパスポートを始め旅行に必要な情報を全て詰め込んでおけば、iPhoneを持っていれば国境をスムーズに通過できて、旅は楽しくなる。さらに、紛失や盗難の保証にも対応している。経路地図が様々な情報を与えてくれる。ボイスガイダンスは移動中でも的確なアドバイスをしてくれる。

日本で成功した駅ナカ・街ナカ戦略をそのまま世界展開

Suica対応国の旅行では、お金の心配は一切しなくても済むようになるだろう。

その結果、Suica対応国はどんどん増える。日本の新幹線の輸出を受けた国では、次々にSuicaの導入を受けるだろう。そして駅は駅ナカ戦略で整備、それから街に出て行って加盟店を増やすといった段取りで進むだろう。日本で起きたことがそのまま繰り返される

これによって毎日の暮らしが変わるだけでなく、旅の仕方も変わってくるだろう。その新しいiPhoneにJR東日本が専門的なアドバイスをして、二人三脚で広めていくことになる。そんなイメージを私は持っているのだ。

実際にFeliCaがiPhoneの標準装備になると、その時には世界中のiPhoneユーザが自由にSuicaを生成して、今のところは日本だけだが(将来は全てのSuica対応国が対象)、日本に来て電車に乗れるし買い物もできるようになる。新しいタイプの電子マネーとして確固たる地位を確立するはずだ。また、空港で日本円をチャージして国内の観光地まで行って、街ではSuicaで買い物もできるのだ。

2020年に向けて克服すべき障害

しかし、世界のiPhoneでSuicaが自由に使えるようになるまでには、まだまだいくつかの克服すべき障害がある。

1つ目は、世界でこれから発売されるiPhoneのすべてに、本当に搭載されるのかということだ。一律に搭載されるなら問題はないが、限られた上級機種だけに載るとなると、そのインパクトは減衰する。

2つ目に、Suicaの扱いの問題もある。日本では、使いはじめにアプリ内でSuicaを生成する方法を取っている。これを、プリインストールで最初からすぐに使えるようにしておく方法はないものだろうか。

また、現在のiPhone7にはすでにFeliCaと同時にTypeA/Bも同梱されていると聞く。両方を活性化させれば効果的と思うのだが、周波数が異なっているので、同時にアクティブにはできないという人もある。真偽のほどは定かではないが、この辺の技術的な問題は一刻も早く解決して、利用者が使いやすいようにしてほしい。

ただ、アップルとJR東日本がバックについていることだから、早晩、こうした点は解決されることだろうと期待している。

Next: 2020年、東京オリンピック直前の成田空港で見られる光景とは?

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