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「てるみくらぶ」騒動を邪推する~巨額の前受金はどこに隠された?=栗原将

てるみくらぶ社長が「新聞広告の費用が原因で倒産した」と発言しました。これは全く理解できません。100億円とも言われる巨額前受金は一体どこへ?と邪推してしまいます。(『海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』栗原将)

コスト計算もできない社長が粉飾決算の謎。前受金はどこに消えた?

てるみくらぶ社長の不可解な言い分

てるみくらぶ社長の記者会見の中で、どうしても気になったフレーズがありました。「一昨年から新聞広告を打ち出して、媒体費が掛かり過ぎた」という部分です。

私自身、社会人の最初に勤めた会社が新聞社の広告部門でしたので、旅行会社の広告についてもある程度理解しています(勤務していた頃とは、状況が変わっている部分もあるとは思いますが)。

新聞広告の料金というのは、広告主ごとに決まった料金(専門用語で段単価といいます)があります。この料金を決める大きな要素は2つ。「業種」と「出稿量(段数:全貢だと15段、3分の1だと5段という)」です。

業種として、「旅行会社」の広告料金は基本的に非常に低いものとなっていました。これは通販広告と同じようなものです。単価が安い代わりに、広告の需要が少ない週初めの月曜日などの“埋め草”として広告を出してもらえるので、新聞社側にとってもメリットがあったのです。記事の下の広告を白紙で出すことはタブーですので。

広告主としては、広告を出して、その後に申込みが何件あったかで、顧客獲得コストがわかります。その獲得コストが広告費に見合わないものかどうかは、すぐにわかるのです。

ですから、コスト割れなのであれば、その時点で広告を出すのを止めれば良いのです。しかし、てるみくらぶは一昨年から倒産するまで継続していたということになります。

てるみくらぶがどこの広告代理店を使っていたのかは知りませんが、広告料の支払いは割としっかり行っていたのではないかと推測します。あまりに支払いが遅れると、広告業界に噂が広まり、媒体購入を受けてくれる代理店がなくなりますので。

結局割を食ったのが、本当に気の毒なのですが、消費者でした。おそらくは前払いで集めたお金の一定割合が、新聞広告に充てられていたのではないかと思います(別の機会に書きたいと思いますが、今回の騒動で新聞社の追及が甘いのは、このあたりの事情があるのではないかなと思います)。

低レベルな社長がこなしたハイレベルな粉飾決算

さて、ここからは全くの想像の世界になりますが、てるみくらぶの社長のコメント(新聞広告コストが倒産の原因)が事実ならば、もう低レベルも極まれりで、小学生レベルの足し算引き算もできない人物が経営者だったということになります。

ところが報道によると、金融機関など外部向けには、粉飾された決算書を出していたとのこと。粉飾決算というのは、馬鹿ではできません。金融機関向けとか、税務署向けに、異なる要件が発生します。こんな難しい“作業”をきっちりこなしていたのにもかかわらず、「新聞広告が原因で倒産しました」というのは、全く理解できないのです。

100億円超とも言われる前受金の行方は

もしかしたら、100億円を超えるとも言われている巨額の前受金の内の一部が、オフショアにでも流れているのではないか?なんていう想像もしてしまうのです。なにしろ海外旅行の会社で、海外に子会社も沢山あります。

例えば、本社から海外の子会社に“現地旅行費用”として送金して、さらに、その子会社が現地の下請け先に様々な名目で支払いがなされていたら、これらの全てを検証するのはかなり難しい作業となるでしょう。下請け先に相場より高い費用を一度支払ったうえで、リベートを受け取ることだって可能でしょう。

今回の騒動では、消費者だけでなく、内定を出していた数十名の未来ある若者も“ダシ”にされました。きっちり全容解明をしてもらいたいですね。

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海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』(2017年4月11日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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9年間のタイ、フィリピンでの海外移住生活から帰国し、北海道暮らしをはじめた50歳男子が、久々の日本生活から感じることや、海外生活のメリット・デメリット、そして、地方暮らしの実際について独自目線で語っていきます。

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