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「観光立国日本」の危うさ~爆買い中国人が銀座を見捨てた真の理由=施光恒

適当かどうかわかりませんが、私が以前から少々疑問に思っている例を一つあげましょう。

九州では、2012年から「九州オルレ」なる遊歩道(トレッキング・コース)が各地に作られています。九州の観光業者と地方自治体が組織する「九州観光推進機構」という官民共同の団体が、主に、韓国人観光客を呼び込もうとして作ってきたものです。

九州観光推進機構の作成しているウェッブ・サイトによれば、「オルレ」とは、韓国・済州島の方言で「通りから家に通じる狭い路地」という意味だそうです。済州島では、トレッキングが徐々に盛んになり、「オルレ」はトレッキングコースの総称として使われるようになったとのことです。

済州島で人気を得た「オルレ」を日本にも持ち込み、韓国人旅行客を呼び込もうということで、九州でもあちこちにコースが設定されました。現在、17コースのようです。それが「九州オルレ」です。

下記のリンク先をご覧になっていただければわかりますが、「オルレ」の各コースには、「カンセ」と呼ばれる韓国・済州島の馬をモチーフにしたオブジェや、韓国的配色かと思われる青と赤のリボン、木製の矢印などが設置されています。
九州オルレ – 九州観光推進機構『九州旅ネット』

この「九州オルレ」を韓国人観光客誘致の成功事例として紹介している下記のサイトでは、成功の要因を「韓国人目線にたったコース設定、ブランド管理」と論じています。
【関連】山里を韓国人旅行者がトレッキング!「九州オルレ」~九州観光推進機構 – Clair Inbound Library

このメルマガの読者の皆さんは、「九州オルレ」という試み、どう思われますでしょうか?

ネット上では、賛否両論、さまざまな意見があるようです。「九州オルレ 賛否」「九州オルレ 批判」などの語句で検索してみてください。

私は、正直なところ、あまり好感はもちません。

周知のとおり、残念ながら、日本と韓国は、竹島など領土問題をはじめとして、さまざまな政治的懸案事項を抱えています。私が、そうした政治的問題に特に関心があるからかもしれませんが、私の場合、「オルレ」のコースに点在する韓国的なオブジェやリボン、矢印を目にすると、どうもそういう政治的懸案事項がいろいろと念頭に浮かんできてしまいます。

九州のそれぞれの土地の持つ歴史的、社会的意味ではなく、何の関係もない日韓の政治的懸案事項のほうに気をとられてしまうのです。

(ついでにいえば、非常に個人的な話で恐縮ですが、野球のWBCで、日本が韓国チームに負けた際に、韓国選手がマウンドに韓国の国旗を立てたことなど、余計なことも頭に浮かんでしまいます…)。
f(^_^;)

私は、例えば「オルレ」のコースも作られている大分県、熊本県にまたがる「阿蘇・くじゅう国立公園」のあたりをよく訪れます。大好きな場所です。

特に、全国的にはあまり知られていませんが、大分県の久住(九重)連峰の周辺はとても良いところです。私は、幼い頃から両親に連れられてよく訪れていました。今でも、私は登山が結構好きですので、年に何回か久住の山々を登ったり、周囲の温泉に行ったりします。

そのときに、「オルレ」のオブジェや標識などを見ると、やはり違和感を覚えてしまいます。

それぞれの土地のもつ歴史的、社会的「意味」が、韓国から観光客を手っ取り早く誘致したいという観光業者や自治体の願望など様々な政治的・経済的思惑によって、乱暴に塗りつぶされているように感じてしまうのです。

Next: 私たちが暮らす日本の街並みは誰のものか?

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