当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)
プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。
日経平均株価、9/30大引け時点の理論株価は1万6819円に
業績見通しの変化で変動する日経平均。理論株価の変動域を試算(3通り)
9月21日の日米の金融当局の政策決定会合を経て為替相場は当面小康状態で落ち着いているように見受けられます。そこで、株式相場にとっては今後の中間決算の発表を控えて今期の業績見通しが注目されるところです。
現在の業績見通しが維持されるのか、円高による減収で下方修正されるのか、あるいはオールジャパンでみれば円高はプラス面もこれあり、補正予算効果と経営努力で増収に転ずるのか、いくつかのシナリオが考えられます。
今回は為替が当面安定することを前提として、業績見通しが変化した場合の理論株価の変動域を3通り試算しました。なお、足元の業績は前期比7.6%の増益が見込まれています(3月末の日経平均ベースの予想EPSは127円26銭、直近の予想EPS137円ちょうど)。
ここでは、今後、(1)業績見通しが悪化して前期比伸び率がゼロになる場合、(2)業績伸び率が足元の見通しから半減する場合(3.8%の増益)、(3)輸出企業の円高対応が進む一方、補正予算効果などで増益見通しが10%まで高まる場合――の3つのケースを考えます。
下図は日経平均と理論株価、そして通常の変動範囲の上側と下側に加え、上の3つのケースに対応する理論株価の位置を示したグラフです。
日経平均と業績の変動に対応する理論株価の変動域
2016年6月1日~2016年9月30日
紺色が日経平均、青色が理論株価、赤色の線が通常変動の上側と下側をそれぞれ示し、3本の横線が上述の3つのケースに対応する理論株価の位置を示します。
茶色が10%の増益のケースで理論株価は1万7000円を若干超えます。緑色が現在の予想増益率が半減するケースで1万6458円、これは足元の日経平均、1万6499円とほぼ同水準で市場は為替は当面安定しつつ業績の伸びは半減すると見ていると言えます。さらに悲観色が強まり、今期は前期並みのゼロ成長で停滞するのが紫色の線で1万6000円そこそこになります。
為替が当面安定することを前提として、今後の中間発表の進展に併せた相場感のご参考にしていただければ幸いです。
Next: 詳細グラフ:理論株価の推移/変動範囲の上限・下限/直近5日かい離率