財政健全化とは「政府の負債対GDP比率の引き下げ」である
日本経済新聞は、後略部で、「教育や公共事業などの歳出を増やし、増税を先送りするため、目標の中間見直しをする来年に、PB目標を棚上げし、債務残高GDP比率に目標を切り替えるつもりなのではないかという観測がくすぶっている」と書いています。
教育支出や公共事業の拡大、あるいは増税の凍結(先送りではなく)は、日本のデフレ脱却及び長期的な経済成長のために不可欠です。そのために、PB目標を破棄し、政府の負債対GDP比に目標を切り替えることは、そもそもの「財政健全化」という目標からも、合理的です。何しろ、財政健全化とは、政府の負債対GDP比率の引き下げのことなのです。
例えば、ダイエットという目標があったとします。ダイエットの定義は、普通は体重を減らすことでしょう。
ところが、日本経済新聞は「食事制限」という、ダイエットの一手法にこだわり、「食事制限を断固続けるべき! たとえ、栄養失調で死ぬことになっても」と、言っているも同然なのです。食事制限を緩和したところで、適度な運動でカロリーをコントロールすることで、ダイエットという目標は達成できます。
食事制限にせよ、運動によるカロリー消費にせよ、目標でも何でもありません。体重を減らすというダイエット「目標」を達成するための、一手段に過ぎないのです。PBの管理や、名目GDPの成長率、国債金利が、すべて「政府の負債対GDP比率引き下げ」の一手段に過ぎないのと同じように。
結局のところ、日経新聞の社説を書いた記者は、「プライマリーバランス黒字教」の教徒なのです。あるいは「狂信者」です。
この手の狂信者を説得するのは無理で、彼らの狂った主張に対し、繰り返し、繰り返し、的確に、事実をもって否定する論述を、可能な限り拡散しなければならないのです。さもなければ、日本はPB黒字教徒により亡国へと追いやられることになります。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年6月14日号より
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