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「海外銀行口座」開設への道~いま日本人であること、国外に資産を置くということ=俣野成敏

【徐々に狭まる税金の包囲網】

現在、日本において規制しようとする側の意図としては、税金逃れ以外に「キャピタルフライト(資金流失)を防止したい」という目的があります。

日本人の中には、借金が雪だるま式に膨らんでいく日本に資産を置いておくことに対して不安を感じている人が多くいます。富裕層の間では一時期、国籍を捨てる人が続出しました。

それに対して国が採った対策の1つが、2015年7月より導入された国外転出時課税制度(出国税)です。これは主に、1億円以上の株式等を保有する者の含み益に対して所得税を課すものです。

さらに相続税・贈与税に関して、これまでは相続人(受贈者)、被相続人(贈与者)の双方が海外に5年以上居住していた場合は、国内財産のみが課税対象となる(国外財産には課税されない)という、いわゆる5年ルールがありましたが、それが2017年の税改正により10年へと変更になりました(2017年税制大網)。以後は10年超、海外に居住していないと国内外の全財産に課税されます。

また、これも多くの人が感じていることだと思いますが、現在、日本の金融商品の大半は利回りがよくありません。その理由については、メルマガVol.53「国内生命保険(1)」などでもお話しました。今の日本国債はほとんど利益がなく、経済成長率も低空飛行を続けています。

こうした状況にあって現在、金融業界を中心に「マイナンバーの収集が進んでいない」ということが問題になっています。

2018年より証券口座ではマイナンバーの提出が義務付けられており、銀行口座も任意で顧客に提出を求められるようになります。けれど実際にはNISA口座(少額投資非課税制度)でさえ大手証券会社で半分ほどしかマイナンバーを収集できていないと言います。

特に証券口座で登録しない場合、翌年から取引ができなくなる可能性があります。このままでいくと、証券会社にとっては大きな資金流出を招く事態となるかもしれません。

応じない人が多い理由は、「国に国民の資産を把握する権利があるのか?」という、国民の反発感情があるものと思われます。ここまでお伝えしたような事情が重なり合って、国内では必要のないはずの海外銀行口座に対する需要が増えているのだと考えられます。

Next: 日本人が海外銀行口座を持つことでいったい何が可能になるのか?

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