トランプ勝利で株高・ドル高が進行している理由
なぜ、トランプ氏の勝利でも株価は暴落せず上がり、ドルは急落せず買われているのでしょうか?
難しい言葉は置いておいて、大まかなイメージで表現しますと、トランプ氏は、オバマ大統領がこれまで行ってきた金融機関への締め付けを取っ払うことを選挙中に言っていたからだと思われます。
金融機関への行動の縛りを取っ払う、銀行と証券の垣根を作り、自分たちが自由に投資できる枠を制限してきたものを自由にするといった感じです。その思惑から銀行株が大きく上昇してきました。
また、国内産業を活性化させると言っていました。石炭などの資源活用、インフラ支出拡大を見込み、工業株や素材株も上昇しています。
保護政策を取ることから、国内向け政策に重点をおき、財政出動が拡大すると見られます。
公共事業を増やし、雇用を増やし、そうすることで賃金が上がり、それがインフレにつながり、インフレになればFRBは金利を引き上げるという連想が働き、国債が売られ足元の長期金利が上昇し、金利差でドルが買われるという状況になっています。
勝利宣言の演説を見て、それまでの過激発言が鳴りを潜め、国民に寄り添う姿勢を見せたのも「意外とトランプってまともじゃん…」と好感されたようです。
いまの株価上昇、ドル買い加速の背景は、こんな感じでしょうかね。
「トランプ・ショック」は遅れてやってくる
ここで重要なのは、まだトランプ氏は何もしていないということです。つまり、実際の行動や発言で批判されることは何もないということです。それゆえ、選挙中の政策にまつわる話から、思惑だけでマーケットが動いているということです。
これはアベノミクス初動とまったく同じです。アベノミクス相場では、安倍政権が実際に行動する前に株価が最も上昇し、円安が進みました。思惑でマーケットは動くのです。
アベノミクスも、実際に動いてからは批判が多く、ほころびも露呈してきました。トランプ氏の評価は来年、実際に大統領に就任して動きはじめてから決まるでしょう。やはり、トランプ・リスクはこれからではないかと思われますね――
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※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2016年11月14日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『らぽーる・マガジン』(2016年11月14日号)より一部抜粋
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