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日経平均急騰を裏付ける理論株価かい離率推移、過熱感は薄い(11/21)=日暮昭

当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

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足元の相場は業績と為替で規定される無理のない水準

日経平均の急上昇は理論株価が裏付け

株式相場は米国大統領選挙でトランプ候補の勝利が確定した直後に急落した後、翌日に急回復しその後もハイペースで上昇を続けています。

下図は理論株価が実質的に新年度入りした6月から直近の11月18日まで、日経平均と理論株価、そして通常変動の上側と下側を示したグラフです。紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側と下側を示します。紫色の縦線は英国のEU離脱で急落した6月24日と今回の11月9日の急落の位置を示します。

日経平均、理論株価と通常変動の上側、下側
2016.6.1~2016.11.18

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日経平均は11月9日の急落で1万6,251円を付けた後、直近の18日には1万7,967円と1週間余りで1,716円、10.5%上昇しました。

この規模に見合う変動は6月の英国のEU離脱ショック前後の変動に見られます。しかし、その裏にある相場の実態は大きく異なります。図に見られるように当時の日経平均は通常変動の下側も割り込み、ファンダメンタルズでは説明できない水準にあり、そこからさらに底割れするのか、あるいは理論株価に回帰、回復していくのか、不安定な状況にありました(結果は従来と同様、理論株価に戻る道を辿りました)。

一方、今回の急落とその後の急速な上昇はいずれも理論株価に沿った動きとなっており、業績と為替で規定される無理のない相場水準の動きと言えます。

下図はこうした日経平均と理論株価の関係を明快に捉えるグラフで、上図と同じ6月から11月18日までの日経平均と理論株価の“かい離率”の推移を示しています。

日経平均と理論株価のかい離率の推移
2016.1.1~2016.11.18

161121rironkabuka_2

紺色の折れ線がかい離率の推移、中央の緑色の線がかい離率の平均を表します。かい離率は基本的にこの平均の位置を中心に変動しており、ここから一定程度離れると平均に回帰する傾向があります。この一定の程度を表すのが通常変動の範囲で、上側と下側を赤線で示しています。紫色の縦線は上図と同様、6月24日と11月9日の位置を示します。

図から、11月9日の下落は赤線の通常変動の内側に収まっており、6月の落ち込みはここには記していませんが、通常変動の2倍に当たる反転の限界を示す“変動の下限”にまで接近しており、“異常な下げ”と言えます。

かい離率はその後7月半ばから通常変動の範囲内に戻り、8月半ばからは平均値の近辺で推移しており、理論株価と歩調を合わせていることが分かります。今回の急落は赤線の範囲に収まっており通常変動の一環として捉えられます。

これは日経平均が理論株価の動きを忠実に追っていることの裏返しであるわけですが、逆に言うと、理論株価が下落すれば日経平均も下落するということです。

理論株価を引き上げた主因は、次期米大統領による積極財政策に対する期待などによる金利上昇を受けた米ドルの上昇(円の下落)です。こうした期待が実現せず為替がドル安・円高の流れに戻れば理論株価の上昇過程は逆回転して下落します。それにつられる形で日経平均も下落することになります。

ただ、現状は業績(今期の予想1株当たり利益)が安定していることで、米ドルが足もとの110円程度で推移するならば現在の相場は妥当な水準として過熱感は薄いと言えます。

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投資の視点』(2016年11月20日号)より

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