FOMCによる「トランプの経済政策への評価」
ここからは、さらに詳しい解説です。
まず、1つ目の注目点は、FOMCによる「トランプの経済政策への評価」についてです。
イエレンFRB議長は、これを記者会見でいかように伝えるのでしょうか?
これについては以下のように、すでに幾人かの連銀関係者が、学者らしく、次期政権に媚びることなく、いくつかの評価(メッセージ)を次期大統領に送っています。すなわち、
「アメリカ経済はほぼ完全雇用を達成(需給ギャップもほとんどない)。今のアメリカ経済は景気が良い。だから、トランプ次期大統領の掲げるような(不況期向けの)景気刺激的な政策(大型減税や巨額なインフラ投資)は必要ない」
「今の時点では、次期政権の政策の行方が不明確なので、2017年以降の景気予測は、とても不透明、予測は不可能」
「次期大統領の財政政策が景気全般に影響を及ぼし始めるのは、議会の承認が必要なことを考えると、2017年中ではなく、2018年に入ってからではないのか?」
「構造改革につながるような、すなわち、生産性をアップするような(投資減税などの)減税策ならば、(FRBとしては大歓迎で)2018年のアメリカ経済を若干上向かせるだろう」
「生産性をアップさせるようなインフラ投資ならば、(FRBとしては大歓迎で)2018年のアメリカ経済を若干は上向かせるだろう」
「生産性をアップさせないような、正しくない財政出動ならば、今のところそれは必要ない」
「近い将来、アメリカ経済がリセッション入りするような状態になったら、その時こそは、FRBは財政刺激策を歓迎する」
などなどです。
以上のことは、マクロ経済学的には至極当たり前のこと。「マクロ経済学の真実(常識)」です。が、マーケットが「根拠なき熱狂」の渦の中でイケイケになっている状態では、こういった「当たり前」のことをきっぱり指摘できる人が少なくなっています。連銀関係者を除けば、皆無かもしれません。
海外のマスメディア報道では、「今回のFOMCでイエレンFRB議長は、トランプ大統領と真っ向から対峙することを避けるために、マーケットをクールダウンさせるようなことは発言しないだろう」と予測している向きもあります。
「王様は裸だ」発言はあるか
こういった「マーケットに水を差すようなこと」とは、一言でいうならば「王様は裸だ」発言をすることでしょう。イエレンFRB議長は、今回のFOMCでは、とりあえず「王様は裸だ」発言を控えるだろうと予測するメディア報道が少なくないのです。
でも、果たしてそうでしょうか?
「王様は裸だ」と言うことが、次期大統領と対峙することなのでしょうか?
「王様は裸ですよ」発言、すなわち「トランプ様の経済政策はFRBとの擦り合わせができていないので未完成ですよ」と、真摯に穏やかに伝えるほうが、王様(トランプ様)から感謝されるのではないでしょうか?
イエレンFRB議長は、この12月14日の記者会見で、学者らしく、次期政権に媚びることなく、「マクロ経済学の真実」を毅然と語るのではないでしょうか?