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投機筋に狙われた円。2017年は「1ドル=140円」の超円安に現実味も=斎藤満

投機筋が利食いを急ぐ理由が消滅

そうであれば、投機筋も「利食い」を急ぐ必要はなく、円安の継続をゆっくり楽しめることになります。それだけ円安がさらに大きく進む余地があり、近いうちに昨年半ばにつけた125円台を試しに行くと見られます。

ここまでは米国側からドル高に対し、特段のクレームは聞かれません。安倍政権からも一部を除けば、むしろ円安・株高を歓迎しています。

ドル高といっても、ドルが上昇している相手通貨は、主要国通貨では人民元くらいで、あとは新興国通貨です。ドル高自体、本来は米国が困るはずですが、「偉大な米国」を掲げる米国からはドル高許容のムードがあります。

米ドル/円 週足(SBI証券提供)

米ドル/円 週足(SBI証券提供)

逆に通貨安で悲鳴を上げるのは、資本流出、コスト高の物価高でこまる新興国や、日本の消費者、中小企業となります。

新興国でも、資源価格がやや上昇するようになった分、余裕があり、むしろ新興国のなかでは中国経済への影響が最大の課題となります。昨年夏と今年の初めには、人民元の急落で株価が急落しましたが、その後上海市場は政府管理下に置かれて動かなくなり、資本規制も強化された分、昨年のような市場混乱は起きていません。

欧州通貨は安定し、不満は聞かれず、偉大な米国を目指し、積極的な財政策を打ち出す米国も、ドル高に苦しみ、「第2のプラザ合意」を求めてくるには、まだかなりの時間が予想されます。

1ドル=140円も視野

そうなると、日本の消費者、中小企業が悲鳴を上げ、それを政府が認識して動くようになるまで、円安ドル高が進む可能性があります。来年は125円を超え、140円も考えられます。

「第2のプラザ合意」で140円の円安ドル高が修正されるときは、次に大幅な円高がやってきます。投機筋には絶好の稼ぎ場になりますが、日本の企業には大きな負担になります。

これを回避するには、第2のプラザ合意に至る前に、為替の軟着陸が必要で、その場合、日銀による10年国債金利の「ピン止め」や、資産買い入れ額の見直しが検討されると思われます。
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※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年12月21日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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マンさんの経済あらかると』(2016年12月21日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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