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生産年齢人口が減少する今の日本においてインフラ投資は必要不可欠だ

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015年4月27日号より
※本記事のタイトルはMONEY VOICE編集部によるものです

リニア中央新幹線に限らず、我が国が大規模インフラ投資を実施しようとした場合、即座に、「日本は人口が減少していくのだから、インフラへの投資はいらない」と、超を1000個くらいつけたくなるほどに「愚か」な発言をする人が少なくありません。本当に、何て「愚か」なのでしょうか。

この手の「愚か」な主張をする人は、そもそもインフラ整備が何のため行われるか、理解していないわけです。インフラ整備は、生産性向上のために行われます。

正確に定義します。生産性向上とは、「生産者が働き、モノやサービスという付加価値を生産し、顧客が消費、投資として購入(支出)し、所得が創出される」という、経済の基本たる所得創出のプロセスの「生産」を、生産者一人当たりで増やすことです。すなわち、生産者一人当たり付加価値の拡大です。

生産性を高めるには、「公共投資」「設備投資」「人材投資」「技術開発投資」という「四投資」以外に、ほとんど手段がありません。個人の根性や長時間労働で生産性を増やそうとすると、瞬く間に限界に突き当たります。

日本がリニア新幹線に投資し、「ヒトの移動」を高速化すると、間違いなく生産性が向上します。何しろ、同一人物が「A地点」と「B地点」においてモノやサービスを供給することができる可能性が高まるのです。

九州では、相変わらず宮崎県と大分県の農業が苦戦していますが、これは「高速道路」というインフラが不十分であるためです。農産物を生産しても、大消費地である福岡に運搬する手段がなきも同然なのです。これでは、両県の農業の生産性、厳密には、「農産物を生産し、福岡などの大消費地の消費者に届ける」という付加価値は拡大しようがありません。

というわけで、インフラへの投資、特に公共投資は「生産性向上」のために行われます。JR東海が(今のところ)自費で建設することにはなっていますが、リニア中央新幹線も同様です。

などと書くと、「何で、人口が減る日本が、生産性向上にそんなに必死にならなければならないの?」と、さらに「愚か」な反論をしてくる人が、恐らく我が国の「言論界」の多数派でしょう。この種のいい加減な発言をする人は、本物の愚者であるか、もしくは何も考えていないのです。

何しろ、日本で相対的に減少している人口は総人口ではなく、生産年齢人口なのです。すなわち、国民経済の供給能力の「ヒト」である生産年齢人口が、総人口以上のペースで減少していっているわけでございます。

当然、近い将来、我が国には総人口の「総需要」に、生産年齢人口の「供給能力」が追い付かない時代が訪れることになります。すなわち、インフレギャップ化です。

総需要に対し、供給能力が不足するインフレギャップを解消するためには、生産性向上以外にほとんど手段がありません。だからこそ、我が国はこれまで以上にインフラに投資をしなければならないのです。さもなければ、インフレギャップを埋めることができず、インフレ率が健全な範囲を超えて上昇し、貿易赤字も拡大してしまうでしょう。

などと、難しく固い話は置いておいて、人類が史上初めて地上で「時速600キロメートル」を超える速度で移動しました。「世界最速」で移動した人類は、日本国民なのです。

その事実を知っても、「日本にリニア中央新幹線などいらない」などと口にする日本国民が、果たしているのでしょうか。

実際には、大勢いるわけです。だからこそ、日本国民一人一人が正論を繰り返し発言し、上記の奇妙な「停滞感」「閉塞感」「寂寥感」を打開していかなければならないと思うわけでございます。

別に、日本は国民が停滞感、閉塞感、寂寥感に浸らなければならないほど、ダメな国ではないのです。今のところ、という条件は付けますが。

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