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いくらで人生逃げ切れる?超少子高齢化社会の「ハッピーリタイヤ」入門=俣野成敏

老後資金はいくらあれば足りるのか?

日本の状況は、ここまででご理解いただけたことと思います。こうした社会情勢の変化に対して、今、私たちがどのような備えをすべきなのかについては、さまざまな説が唱えられています。

たとえば「老後資金には1億円が必要」と言う人から、「老後は数百万円あれば足りる」という意見まで、いろいろあります。

それぞれの主張を見てみましょう。「老後資金1億円」説の出どころは、仮に65歳に退職した人が90歳まで生きるとして、毎月の夫婦の生活費をだいたい33~35万円くらいかかると仮定した場合の数字です。

それに対して「老後は数百万円あればいい」というのは、「足りない部分は自分が働き続ければいい」という考え方です。

確かに、少子高齢化社会の到来と相まって、雇用の延長は、すでに現実のものとなりつつあります。2013年より、改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業では65歳までの雇用が義務付けられるようになりました。

とはいえ、老後資金を数百万円しか用意していない状態で、万一、介護を受けなければならない状況に陥った場合はどうすればいいのでしょうか?そこを考えずして、「老後の準備は整った」とはとても言えないのではないでしょうか。

そもそも「65歳までの雇用義務」と言っても、定年自体を延ばしている企業はわずかしかありません。それ以外のほとんどは“再雇用”です。つまり60歳以降は「役職を解かれて、給料が半分」というのが大方のパターンです。

たとえ60歳の時点で年収700万円をもらっていた人でも、再雇用となれば350万円になります。現在のサラリーマンの平均年収が400万円~500万円くらいだとすると、再雇用時には200~250万円になる、ということです。

さらに現実的な話をしますと、雇用を延長しても、将来的に必要な老後資金は減りません

普通に考えると、60歳退職を65歳まで延長すれば、長く働くワケですから、その分だけ必要とされる老後資金も減るはずです。なのに、それが減らないのは、寿命が大幅に伸びているからです。

この状況を乗り越えるには、「生活レベルを落とす」くらいのことをしない限り、必然的に「長期間、働かないと老後資金を確保できなくなる」人生が待っています。

Next: 年金は「もらえたらラッキー」を基本にリタイヤ戦略を立てる

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