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投資家が警戒する「第2のプラザ合意」と超円高を日本が回避する方法=矢口新

なぜ1985年の「プラザ合意」で円高が進行したのか?

当時の米国はインフレ抑制のための高金利政策を採っており、ドル高も米国の都合だった。その結果、民間投資が抑制され、貿易、財政の双子の赤字が膨らんでいた。日本は自ら通貨安政策を採っていたわけではないが、360円から300円に、1985年当時は240円ほどと、通貨安のメリットを受け、貿易黒字も空前の規模に膨らんでいた。

日本の貿易黒字は実需の円買いを生み、円高トレンドの根っこをつくる。大きな流れとしては、日本は2011年まで貿易黒字を続け、根っこの円高トレンドも続いていた。大震災で燃料輸入が急増し、貿易赤字に転じたことと、急速な円安に向かったことは、偶然の一致ではない。つまり、1985年当時のドル円は、当局の一押しで、急速なドル安円高に向かう下地があったのだ。

今回は日本に有利?「第2のプラザ合意」の行方

では、「第2のプラザ合意」はあるのか?

米国第一主義」「2国間での貿易協定」に、多国間での合意はいらない。「国際協調主義」であろうが、「合意」があろうが、国連、IMF、BIS、EUなどの歴史が教えてくれるのは、日本などの政治小国の意見は無視されるということだ。

この時、「国際協調主義」では「理念が優先」されるので、小国は建前だけで押し切られる。

では、「2国間での貿易協定」ならばどうか?こちらでは、小国は本音で押し切られる恐れがある。しかし、本音の場合は、国際政治と違って、発言力だけで押し切られることはない。実利の重みが増すからだ。

その意味では、これまで、建前は「国際協調主義」だが、本音は当然の如く「米国第一主義」だった米国が、「国際協調主義」を捨てたことで、日本など政治小国はやりやすくなったのではないか?

米国がなぜ「国際協調主義」という建前を捨てたか?建前に巣くう「国際エリート官僚」たちが、米国政府を凌ぐ力を持ち始めたからかもしれない。現実に、彼らは欧州各国政府を凌ぐ力を持っている。

大統領令に見られる通り、トランプ大統領は手強い。議会も共和党なので、政策も前政権より運営しやすいと思われる。しかし、これまでよりも交渉相手がはっきりしており、また、本音で渡り合える可能性が高まった。

日本の政治家たちも、政治家としての能力を発揮する機会が増えたと言えるだろう。

Next: トランプの「米国第一主義」を恐れる必要がない本当の理由とは?

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