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安倍総理の「成果」は本物か?日米首脳会談で日本が得たもの失ったもの=斎藤満

日本が失ったもの(1)独立国としての尊厳

今回の日米首脳会談では、中国をけん制するための日米安保の確認や、安倍陣営とゴルフを共にする「親しい関係」を中国にアピールすることはできましたが、経済面では、日本の円安誘導や自動車産業への批判が飛び出さなかったことは成果だとしても、これが解消されたわけではありません。

そして、首脳会談の「成果」とは裏腹に、むしろ、日本が失ったものも少なくありません。その最たるものが、日本のディグニティ、つまり独立国としての尊厳です。

安倍政権はトランプ政権に対して、無批判に120%従属する日本、という姿勢を世界に示してしまいました。確かに中国の脅威に対して、自ら身を守れないので、米軍の力を借りたいという事情はありますが、そのために「対価」として金銭面での負担も含めてできる限りの貢献を約束しました。

日本が失ったもの(2)沖縄における選択肢と莫大な防衛費

沖縄や尖閣を守ってもらうのと引き換えに、日本は沖縄基地問題について、自ら手足を縛ることになりました。つまり、トランプ大統領の前で「辺野古への移転が唯一の選択肢」としてしまいました。沖縄の不満を吸収してゆくうえで、選択肢が1つ減りました。また、積極的平和主義を謳う中で、日本は防衛費を拡大する意向を示しています。現在日本の防衛予算はGDPの1%程度ですが、これを2%に増やす要請もあり、その方向で検討しているようです。

日本が失ったもの(3)世界の半分(反トランプ勢力)からの信頼

トランプ大統領は米国を二分してしまいました。トランプ大統領を支持する米国と、トランプ大統領を受け入れない米国とがほぼ半々になっています。また海外でもトランプ大統領の移民抑制、保護主義策に強い批判も上がっています。

その中で、安倍総理は全面的にトランプ大統領支持に回ったわけで、これを米国内外に示してしまいました。このため、「反トランプ」の動きが「反安倍」にもつながりかねなくなりました。

記者団から、トランプ氏の移民難民対策をどう思うかと問われた安倍総理は、それは内政問題なのでコメントは差し控えると逃げましたが、明確な反対を表明する欧州の指導者とは、完全に一線を画しました。これは、日本もトランプ氏と同じように憲法無視の行動に出るのでは、との懸念につながります。

また、昨年の選挙前にはクリントン候補の優勢を信じ、クリントン氏と面談をしながらトランプ候補を無視していた安倍政権が、トランプ氏が勝つと手のひらを反すようにトランプ氏に接近する節操のなさを批判する声もあります。G7などの国際会議では、日本が「ミニ・トランプ」と見られるリスクがあります。

日本が失ったもの(4)将来にわたり良好な日米関係が続くという確信

さらに、会見でのトランプ大統領の発言は、フロリダでの「第2幕」とその後に横たわる大きな不安を示唆しているように見えます。彼は一貫して為替に不満を持っていると言い、経済問題では「自由、公平、両国の利益」を強調しました。そして今は安倍総理に良い印象を持つが、いつ変わるかわからない、とも言っているのです。

トランプ氏のゴーストライターを務めるトニー・シュウォルツ氏は、昨年7月に「ニューヨーカー」のインタビューで、トランプ氏は「ソシオパス(社会病質者)」だと言い、次のような性格分析をしています。

「彼は口を開けば嘘をつき、それに対して罪悪感がなく、自分が話したことはすべて本当だと信じる能力がある」
「自分の役に立つ人間には愛想良くするが、ひとたび役に立たないと見ると、手のひらを返したように切る」
「個人的な友情などなく、損得勘定でしかものを考えない。自分の利益になるかどうかしか眼中にない男」

トランプ大統領とは、特別な付き合い方が必要かもしれず、一般の政治家と同じような感覚で付き合うと、とんだしっぺ返しを受けるリスクがあります。

Next: フロリダでの「第2幕」とその後に潜む真のリスク。首脳会談は飾りだ

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