古いものにこだわって未来をスポイルしてしまった
「古くさい折りたたみ式の携帯電話なんか使うな。全力を賭けてスマートフォンに移行しろ。そうしないと日本は時代遅れになってしまう」と必死で日本人に語りかけるアナリストも、識者も、経営者も、政治家もいなかった。
日本の家電メーカーも折りたたみ式の携帯電話を製造中止にして「もうここには未来がない。日本人は全力でスマートフォンに移行せよ」とトップが命がけで日本人に訴えなければならなかったのだ。
日本のリーダーは誰もが事なかれ主義でやり過ごした。
だから、いつまでもだらだらと古いものにこだわって未来をスポイルしてしまったのだ。
つまり、誰も「日本の未来」を真剣に考えなかったということだ。誰も危機感を覚えず、憂慮せず、新しい時代を切り拓こうとする気概も、勇気も足りなかった。技術も能力も揃っているのに、ビジョンが欠けていた。
これまでは、そうだった。では来たるべき次の技術革新で、日本は同じ過ちを避けることができるのだろうか。
次の技術革新は凄まじく巨大な波になる。人工知能、ロボット、自動運転、仮想現実……と重要なイノベーションが目白押しになっているのだが、その中のひとつとして「ブロックチェーン」が勃興してきている。
これからの決済は国や銀行が信用を保障するのではなく、「ブロックチェーンという技術が信用を保障する」時代に入る。
ブロックチェーンとは何か。
簡単に言えば、取引履歴が記載された情報を暗号化し、そのデータをインターネットに接続された個々のコンピュータに保存して、取引のたびにデータを付け足していく技術を指している。
データは分散して保管されている。ブロックチェーンのデータを持っている機器はインターネットに膨大に存在するわけで、これをすべて改竄することは事実上不可能だ。
だから、取引は管理機関がなくても保障される。それがブロックチェーンという仕組みである。現在、このブロックチェーンの仕組みを利用して急速に台頭しているのが「ビットコイン」と呼ばれるものである。