投資対象としての欠点
僕は理屈抜きにコインが好きなのですが、仕事がら冷静に、資産運用の対象としてコインを見ている部分もあります。
コイン収集歴が長くなりますと、それなりに投資対象としての欠点も見えてくるものです。なにより売り買いのコストが高いのが欠点です。
コイン商の店頭でコインを売り買いすれば、良心的な店ですら、私たちは片道20%程度のコストを支払う勘定になります。あおり系コイン商なら、仕入れたコインに対し、2倍程度の売値を設定することも珍しくはありません。
仮にコインに「本来の価格」というものがあるとして、私たちがその2割増しで買い、出口で2割引きで売るとすればどうでしょう。この場合コインが購入価格の1.5倍にならなければ、儲けは出ない勘定になります(注:1.2÷0.8=1.5倍)。
幸いコイン相場は順調に推移していますが、少なくとも数年手元に置いておかなければ、コイン投資で儲けることはできません。
このことからわかるように、投資商品としてコインを見た場合、長期保有が前提となり、私たちの資産を全体でみれば、それだけ流動性が低くなるわけです。これもコイン投資の欠点に挙げておくべきではないかと思います。
コインは経済的ショックに強い
一方でコイン投資の優位点もたくさんあります。まずは経済的なショックに強いという点です。
たとえば先の金融ショックです。2008年リーマン・ショックの前後の値動きを見ますと、例えばアメリカのコイン相場を指数化したPCGS3000も、確かに2008年をピークに下げました。が、その下げ幅は10%ほどに過ぎません。イギリスのコイン指数(GB200)に至っては、リーマン・ショックのさなかですら順調に上昇しました。
ショックに強い理由の1つは、機関投資家がコイン市場に入ってこないからだと思います。コインの市場規模は小さいとよく言われますが、せいぜい世界全体で1兆円あるかないかではないでしょうか。
対して、例えば株式市場の時価総額は1京円、債券市場の規模もまた1京円ほどあります。もしこの1兆円説が正しければ、コインの市場規模は、株式市場や債券市場のたったの0.01%に過ぎません。そんな狭い市場に機関投資家は入ってきませんし、おそらく今後もないでしょう。
機関投資家に対してコインコレクターはどうでしょう。彼らはたとえ保有する株の価値が半分になったとしても、慌ててコインを売るということは致しません。僕自身がそうだったのでよくわかります。
リーマン・ショックの際も、含み益(含み損ではないところがミソです)を抱えたまま、コインを持ち続けた方が大半だったのではないでしょうか。ですから市場のバランスは崩れず、相場も下がらなかったのでしょう。
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