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奨学金がこの国をダメにする。米国ではいっそ「帳消し」の議論も=矢口新

経済政策は不均衡の是正につながるものであるべき

してみると、税制を含む経済政策は、ともすれば自然に広がってしまう不均衡の是正につながるものでなければならない。一方、日本の1989年の消費税導入以来の政策は、資金を99%から1%へ移動させるという、経済格差の拡大につながるものだった。

つまり、その頃から始まった日本経済の停滞の主因は、政府・官庁が主導したものだったということだ。大衆や民間企業は「貧すれば鈍する」の例え通りに、次第に輝きを失っていったと考えられる。

債務なしの「代替奨学金」という方法も

先にも述べたように、日米共に奨学金の債務負担が話題となっている。

米国では、将来のためにと奨学金を借りて学んだことが、返済金負担で圧し潰され、将来に希望が持てないというジレンマに至っている。

日本でも個人破産に至るケースが増えているようだ。

国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっている。過去5年間の自己破産は延べ1万5千人で、半分近くが親や親戚ら保証人だった。無担保・無審査で借りた奨学金が重荷となり、破産の連鎖を招いている。

出典:奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる – 朝日新聞(2018年2月12日配信)

そこに先日、Bloombergに興味深い記事が出た。

米国人は政府の公的奨学ローンを1.3兆ドル以上抱えているが、学生に他の方法で学費を援助している所がある。当初の学費支払はなしで、将来の所得に応じたパーセンテージで、学費の支払いを行うものだ。政府はこうした新しい方法が、リスクを限定する規制と共に、広がることを推奨すべきだ。

参考:A Debt-Free Alternative to Student Loans – Bloomberg(2018年2月14日配信)

大学や専門学校でも、MBAや職業訓練的なところは、学問を学ぶというより、将来の高収入あるいは安定した生活を望んで進むところだ。

ここで学校側が学生の期待に応えることができたなら、「将来の所得に応じたパーセンテージでの学費支払い」は、当初の学費などとは比較できないほどの収入に繋がる可能性がある。

つまり、人のスタートアップへの投資、インキュベーションにより、学校側が大きな見返りを得る可能性があるのだ。

Next: 将来の収入に応じた返済方式。これは投資教育にも応用できる?

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