fbpx

平成とは日本が泰平の眠りについていた時代。ポピュリズムと右傾化からは揺り戻しへ。トランプ大統領に歯止めはかかるか?【大前研一「2018年の世界」(2)】

結束を強めるEU諸国と、全く別の国になってしまった米国

マクロン大統領の誕生によってポピュリズムの傾向からだいぶ揺り戻しが見られ、独仏を中心にEUの結束が強まっています。オランダでは選挙で極右政党の得票が伸びませんでしたし、イタリアの極右勢力「五つ星運動」も腐敗が露呈し人気が急落しています。英国ではBREXITの行方が不安視されています。

しかし、トランプ氏に関しては全く揺り戻しがありません。もはやトランプ氏を支援している人は、彼が何をやろうが女性に何をしようが、もう関係ないという状態です。「あいつは言ってることを全部実現してるじゃないか」と妄信してしまっているような人たちです。

今や米国という国は我々が知っていたかつての米国とは違う国になってしまっています。すなわち、“United States of America”ではなく“Divided States of America”です。このDivided(分断)は、産業構造による分断を意味します。

東海岸では20世紀型のファイナンシャル経済、西海岸のほうは21世紀型のICT経済、北米大陸の中部は19~20世紀の工業化で栄えた古い米国のまま取り残されている、という具合です。

とりわけ中西部地域と大西洋岸中部地域の一部はラストベルト(Rust Belt:錆の帯)と呼ばれ、製造業が衰退して使われなくなった工場や機械が数多く残っています。

このエリアに住む人々はトランプ氏の支持層です。経済的に両岸に負け、今では失業率の非常に高い地域となっています。米国のこういうレベルの町、トランプカントリーと呼ばれているようなところに行きますと失業率50%はざらです。

外国に雇用を奪われたわけではありませんが、そういった状況の人たちはトランプ氏に救いを求めているのです。彼らにおいてはトランプ氏の極端な発言もおかしな行動も、「オバマみたいな大統領じゃ頼りない」という理由で容認されてしまうのです。

何1つ成果を挙げていないトランプ政権1年目

そのトランプ氏の大統領就任1年目を総括してみましょう(図-8)。

180401_oomae_3

内政面、人事においては、ほとんどの閣僚が1回任命されては解任されていて、今後どうなるのか全く見えない状態です。

イエーツ司法長官代行、フリン大統領補佐官、バノン大統領首席戦略官……次から次へと役を与えられては辞めさせられていきましたが、今後のトランプ政権で最も重要な人物となるのは、マティス国防長官ティラーソン国務長官の2人でしょう。

この2人が昔の米国、ビフォー・トランプの米国を守ろうとしていて、それに対してトランプ氏が全く意に介さず自分の言いたいことを言い、やりたいことをやっているという構図です。

Next: 最後の砦・マティス国防長官は、トランプの暴走を止められるか

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらTwitterでMONEY VOICEをフォロー