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モノ言う株主は味方なのか? 私が彼らを「真の株主」と認めないワケ=山崎和邦

活動の場を失った総会屋

筆者の会社員生活は、前半は野村證券、後半は三井の会社で過ごした。

後半は商品が野外にあり、人々の目にさらされるものである。どこにどういう苦情があるか計り知れない。当社が進めていたのはもちろん実業である。実業が成功している間にミスは起こる。これを隠したり誤魔化したりするから、これが虚業となる。そこを総会屋に突かれる。

何事も隠さず、何事も報告し、何事も今後の改善策を報告する。これさえ決めておけば、何時間かかろうが恐れるものではない。

筆者がそれを感じ、それを実行してきたのは約30年前のことである。総会屋がはびこっていた時代である。

この考え方は、今はどの会社でも採っているようだが、筆者がそれを決意し実行していた4年後(平成9年)に、野村證券が総会屋との問題で役員19人が辞職したという事件があった(前述の平成3年の事件とは別)。

今は筆者が当時考えたようなやり方が一般的になり、総会屋は活動する場面を失った

「モノ言う株主」の台頭

ここで述べるのは、総会屋とは別な「モノ言う株主」についてである。

彼らは経営陣に緊張感を与え、株主の代表としての代弁者であるから、一般に好感されている。例えば、村上世彰氏はその例である。

しかし、株式を高値で売り抜けることを目的とする「モノ言う株主」が、当該会社から離脱するタイミングをつくるために「モノ言う」のであれば、その言動は正当性を欠く。

そういう「モノ言う株主」の関心事は、もっぱら株価にある。会社は誰のものか? 言うまでもなく株主のものだ。したがって、株主価値の最大化を図ることは妥当性を持つ。こういうことは、個人という主権者が株主という規範意識を確立させてきたからできるのだ。

株主の利益は、本来「会社の利益」とともにある

会社の成長とともに会社の利益が増え、自分に対するリターンが増える。これが本来の株主の態度である。

秒単位の売買を繰り返したり、短期売買を繰り返すことは「株の買い手」ではあるが、本来は「株主」ではない。本来の株主は、数秒単位とか3日単位でポジションを持つことはない

数秒単位あるいは2~3日単位の短期売買、これは筆者も時には行う。また、それを当メルマガで報告したり「動画」やセミナーで語ったりすることもある。これは短期売買の勝負事であって、株主になることではない。

余談だが、筆者がやった3年前の250円割れから2年前の170円までの東芝株の買い(これは約1年ほど持って340~350円で売り切った)や、2年前の400円割れからの東電株の買い(600円近くで大半を売った)というようなことも当メルマガで述べた。

これは東芝が持つ本来の企業価値を計算し、発行株数で割り算すると1株当たり435円になる(実際に440円台になった)から、その半値以下は「異常な安値」として買ったものである。

東京電力はイデオロギーと関係なく(17日号の東電の項目で述べた)原発の再稼働によって2000億円の経常利益が上乗せになることを考えれば、地球温暖化の防止、高い原油を海外から買うことが減る。

地域住民に雇用を与え、経済を活性化させる面がある(絶対安全という神話はないから、これに対して万全の策を講じることは当たり前だ)。また、優れて生産工業的・経済的・東電の企業価値の増殖、という点から考えて投資したものである。

私がやったことは、中長期保有といっても「モノ言う株主」の動機とは違うものだ。

Next: 「モノ言う株主」は信用できない? 株主のあるべき姿とは

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