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日本株の暴落リスクは外部要因に非ず。超緩和の長期化がもたらす2つの副作用=山崎和邦

日本株の修羅場は、NY株・上海株・為替相場ほか外部要因ではなく、日本国内の超緩和の副作用がもたらすことになるだろう。2つの大きな綻びについて解説する。(山崎和邦)

※本記事は、有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付)*相場を読み解く2018年7月23日号の一部抜粋です。今月分すべて無料の定期購読はこちらからどうぞ。

目を向けるべきは国内。わかっていても為す術がない黒田日銀総裁

達成時期が見えない「2%目標」

4月の金融政策決定会合で日銀は「2%目標」の達成時期を削除した。つまり「持久戦」に持ち込み、「2%目標」だけは旗幟鮮明(きしせんめい)に標榜し続けることにした。

これはもはや現状追認したに過ぎないが、現状を無視して無理な楽観論を唱え続けるよりはよほどマシである。また、強引な追加緩和を試みたりするよりは、はるかに真っ当である。

今月末に出される「展望レポート」では、物価が上昇しない様々な理由に関する分析を提示しつつ、物価見通しを大きく引き下げるであろうと予想される。

超緩和の長期化がもたらす「2つの副作用」

物価見通しよりも、今は超緩和の長期化に伴う「副作用」を考えることが先決であろう。

2%目標が「2年程度」で達成されるならば、金融機関には多少の我慢をしてもらえば済む話だった。2013年の4月に着任した黒田さんは、そう考えたに違いない。筆者らもそう考えた。

ところが、2つの問題がある。

副作用その1:銀行の弱体化

1つは超緩和の長期化がもたらす金融機関への副作用である。扱う商品の価格が下がれば、当該企業の利益は減る。またはマイナスになる。例えば原油価格が安くなり、非鉄金属が安くなり、食用価格が安くなれば商社はみな減益になる。これと同じだ。

今の状態では地方銀行は半数以上が赤字であろう。メガバンクも苦しいであろう。みずほ銀行に至っては「平時」において16,000人を削減するという。銀行が弱体化すれば、あるいは地方銀行が赤字になれば、銀行の金融仲介機能が弱まり、資本主義体制の血流が弱まる。

平成に入っての13年間は土地暴落、株暴落によって担保が目減りし債権が不良債権化した。そこへもってきて88年に決まったBIS規制によって貸し出しが自己資産の12.5倍以内だと決まった。よって銀行は猛烈な貸し渋りに入った。または「貸しはがし」に入った。これが日本の資本主義体制を大きく弱体化させた。

今回、それとは原因はまったく異なるが、銀行の体力の弱体化を招いたことは間違いない。しかも、物価目標が達成される前に次の景気後退を迎える可能性は高い。そうなれば金利を下げて景気を刺激するという金融政策を打つ手がない

<マイナス金利導入以降、DIの水準は前回の景気後退期より低い水準が続く>

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<銀行業DIと三井住友FGの推移。マイナス金利政策の修正が銀行株のポイントに>

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FRBは一歩先に進んでいて、現在好調な米国景気が不調に入った時には金利引き下げによって刺激してやるだけの「のりしろ」をつくりつつある。

日本にはその「のりしろ」がまったくない。ゼロ%かマイナス金利なのだから、これ以上緩和する余地がない。出口戦略が整う前に景気が後退期に入り収縮期に入った場合に、打つ手がない。これが大きなリスクとなる。その場合に株式市場に与える影響は大きいであろう。

NY市場や上海市場や円ドル相場の行方を外部要因としては注視していなければならない。

しかし、本当のリスクは日本国内に現存する銀行の弱体化である。我々が体験した平成に入ってからの13年間を、「失われた13年」と筆者は述べてきた。「失われた20年」は朝日新聞の造語である。本当は90年1月の大暴落から2003年4月までの、りそな銀行への公的注入で不良債権処理を終了したこの13年間を指す。

Next: 外部に目を向けていると足元をすくわれる? もうひとつの副作用とは

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