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日本経済はすでにインフレ転換…米国やIMFも指摘する「実質賃金」の不気味な上昇

黒田日銀総裁は、やがて「物価2%は不要になった」と宣言する?

すでに4月の時点で、日銀・黒田総裁は、金融緩和政策の続行を堅持すると表明するいっぽうで、今後の出口オプションについても言及しています。

とは言え、今現在は、新興市場から資金が引き上げられている段階にあり、エネルギー価格のいっそう下落リスクが、再び日銀を脅かす可能性があります。

しかし、それが一巡して世界的な金利が上昇基調に転換すれば、日銀は「政策の枠組みを調整するためにインフレ率を2%にする必要はなくなった」と宣言するようになるはずです。

2%目標を破棄すれば、適度なインフレ率=生鮮食品を除くコアインフレ率を1%程度に据え置くことは、日銀が十分に達成できる数字です。

コアインフレ率は、今年2月に1%に達しており、その後、多くのエコノミストの予想どおり、基調的インフレ率も3月には0.9%に上昇しました。コアインフレ率は、現在は0.7%付近で落ち着いています。

今後、政府は果敢に賃上げ要求を行っていく

ここにきて、国際通貨基金(IMF)もまた、日本のインフレ基調への転換を予見しています。

「日本の主要インフレ率は、2017年の0.5%から、2018年と2019年にはそれぞれ1.1%に上昇すると予想している」と、IMFは4月17日に発表したWorld Economic Outlookの中で述べています。

こうした楽観論の出どころは、経済における需給の重要な指標である産出量ギャップ(GDPギャップ、または需給ギャップ)が大元になっています。

産出量ギャップとは、将来見込める潜在産出量(潜在GDP) と実際の総産出量 (actual output) との差を数値化したもので、これがプラスであれば、需要圧力のエネルギーが増加していることを示し、近い将来、インフレに傾斜していくことを表しています。

反対に、マイナスであれば、近い将来、デフレに傾いていくことを表していることになります。

日本の産出量ギャップは、昨年の第4四半期に2007年以来最高水準を記録し、いったんは小幅下げたものの、再び上昇しています。GDP拡大の先行指標である設備投資も、2017年末まで5四半期連続で増加しています。

安倍首相は、2017年から経済界に対して3%の賃上げ要求を繰り返し行ってきましたが、今後は、支持率の回復と2019年の消費増税のために、さらに果敢に賃上げ要求を出していくでしょう。

しかし、その本当の目的は、改憲派、護憲派に関係なく、憲法改正にあることだけは忘れてはならないことでしょう。

Next: 賃金が上がらない時代は終わった可能性がある

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