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「ふるさと納税」成功しすぎで総務省は許せない? 制度見直しの真意とは

小池東京都知事の見方は?

今回の野田総務大臣発言に対し、小池東京都知事は、

「(野田聖子総務相がふるさと納税で過度な返礼品を送る自治体を制度の対象外とする考えを示したことについて)返礼品競争で、びっくりする例も枚挙にいとまがない。

だが、大きな影響を及ぼす見直し方針を、大臣が突然会見で表明するのは少しやり過ぎではないか。『地方従え』と言わんばかりだ。

産品をどう知ってもらうかと努力をしている所もある。『これはだめ』と、中央の指示でやったりやらなかったりというのは若干疑義がある…」

と発言しています。

そもそも地産品がない自治体はどうすればよいのでしょう。福島のある自治体は、放射能汚染で地元品生産を断念しているところもあります。

千葉のある自治体では、有名人が出身地ということで、その有名人がプロデュースするカリフォルニアワインを返礼品としていますが、これはダメなのでしょうか。これは創意工夫にはならないのでしょうか。

国と戦ったか、言いなりか。それが各自治体の寄付額の差

ふるさと納税制度がスタートした2008年には約81億円だった自治体への寄付が、2017年には約3653億円にまでなっています。

これは「制度導入は成功」と判断できないのでしょうか。喜ばしいことではないのでしょうか。どうも総務省の本音は「うまくいき過ぎている」というところにあるようです。

総務省は「不公平感」を強調しています。つまり、総務省通達に応じた自治体と応じなかった自治体との差を指摘しています。「正直者は馬鹿を見る」という発言も出ています。

でもこれを見方を変えれば、国と戦った自治体と、国の言いなりになった自治体との寄付額の差とも捉えることはできます。

地方は国には逆らえません。なぜなら地方交付税を国からもらっているからです。そもそも自主財源が少ない自治体は総務省に逆らうことはできません。すごく平たく言えば、地方交付税は「国が地方に分配するお金」です。その分配権を総務省官僚が握っているのです。

もともと総務省はふるさと納税制度には反対だった

そもそもふるさと納税制度は寄付制度であり、この総務省官僚の分配権から切り離されたものと言えます。

分配の代表的な事例として電波がありますね。つまり総務省官僚の力の源泉が「分配権」なのです。

かつては旧自治省から地方の首長に人を派遣していました。知事は選挙で選ばれるようになりましたが、中央とのパイプ強化として、今でも総務省出身の知事は多いようです。

ふるさと納税」というネーミングは、国民が直接地方にお金を届ける「寄付制度」のイメージを和らげるための工夫で、総務省官僚の抵抗を避けるためにつけられたものだと指摘する声もあるようで、それが本当なら、当時の菅総務大臣の苦労が伺えます。

これはあくまでも想像です。(税金の使い道を)一部でも国民が決められるようにという趣旨だったが、総務省の想定を超えてしまったということなのでしょう。そこで巻き返しということになった。下手をすると、制度がめちゃめちゃになる。それが狙いではないのか。総務省はもう止めたいのだ…。

Next: 省益を優先する総務省が、地方自治体が自立するきっかけを奪う…

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