積み立て投資に潜む問題点「ヒヨコ理論」とは?
2つ目の問題点は、「ヒヨコ理論(僕が勝手に作りました)」です。
ヒヨコを養鶏場で増やす場面をイメージしてみてください。毎日10羽ずつヒヨコを買ってきて、鳥小屋に入れるとしましょう。ヒヨコには相場があって、毎日値段が変動するとします。
ヒヨコの相場が安い日は仕入価格が下がるので、相場の下落はむしろ朗報です。一方で、最初のうちは小屋に入っているヒヨコはほんのわずかですから、ヒヨコの相場の下落を、どちらかといえばプラスに感じるのではないでしょうか。
しかし、その後はどうでしょうか。
毎日買ってくるヒヨコは10羽ですが、いずれ小屋の中のヒヨコはどんどん増えていき、そのうちヒヨコだらけになってしまいます。その時点でも、皆さんはヒヨコ相場の下落に無頓着でいられるでしょうか。
小屋ばかりではなく、いずれ皆さんの頭のなかもヒヨコでいっぱいになってしまうに違いありません。
その時になってヒヨコ相場の勉強を始めても、相場観など一朝一夕で身につくものではありません。
つまり、積み立て投資が気楽にできて手間ナシなのは積み立ての初期のうちだけで、皮肉にも積み立てが成功して資産の残高が増えるにしたがって、相場や運用に関する悩みが出てくるということです。
ヒヨコには寿命があるが、株や投信は持ち続けてもいい
ただし、このヒヨコの事例はお話を簡単にするためのもので、株や投信の積み立てとは少し違ったところもあります。
例えば、満杯になったヒヨコはそのままにしているといずれ死んでしまいますが、株や投信は(一部の例外を除き)その危険性は高くはありません。
ですから、あらかじめ決めた積立期間が満了すれば、そのまま持ち続けてもよいわけです。
ただし、その間に受ける精神的ストレスは、一時投資の場合と同様です。