ただ持ち続けるだけが能じゃない
さて、バイ&ホールドの投資と言っても、闇雲に持ち続けるばかりが能ではありません。時には売らなければならない時もあります。
例えば、成長性に期待して買った銘柄の成長が止まってしまったと思ったら、いつまでもその銘柄に固執してはいけません。その銘柄を持ち続けることで、お金と時間を無駄にしてしまいます。銘柄に愛着を持つことも必要ですが、時には冷徹な判断も不可欠です。
企業の状況が変わっていなかったとしても、株価が異常に割高になった時には一旦売ることも必要です。割高になってしまった株価は下方に強い重力が働くため、持ち続けてもいいことはありません。むしろ、株価が割高になった時は絶好の刈り入れどきと言えるでしょう。
また、銘柄の入れ替えということもあります。限られた資金の中で、より良いポートフォリオを作り上げるには、なるべく有利と考えられる銘柄に絞る必要があります。AとBを比較し、Bの方がいいと確信を持って言えるなら、Aを売ってBに集中させることも必要です。これを続けることで、次第に銘柄の選球眼を磨くことができるでしょう。
一度バイ&ホールドを決めたらもう迷わない
バイ&ホールドの最大のメリットは、精神の安定にあると考えます。
多くの場合において、自分が売った銘柄はその後株価が上昇し、後悔の念に駆られるものです。まして、自分がいいと思って買った銘柄ならなおさらです。別れた彼女がどんどん美人になり、いつのまにか自分の手の届かない存在になってしまっては遅いのです。
別れて後悔するくらいなら、最初から生涯結婚できる銘柄を選ぶ方が精神的にも安定し、銘柄を選ぶ力も身につきます。ただし、結婚相手は1人である必要はなく、あなたが愛せる数だけの銘柄を持てばい良いのです。これは株式投資の大きなメリットだと言えます。
一度バイ&ホールドの投資をすると決めると、あとの方針は自ずと固まってきます。ずっと持ち続けられる銘柄を、なるべく安いタイミングで買い、あとは黙って持ち続ければいいのです。このシンプルな原則を頭に入れておけば、あなたは投資の世界でもう迷うことはなくなるでしょう。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年1月15日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。