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世界市場のマクロに波乱が予見されるいま、ミクロに目を向けた5つの投資手法とは?=山崎和邦

ミクロに目を付けた投資手法、5例を紹介

ミクロ面に目を向ける見方としては、いくつかの流儀があると思う。たとえばの例を列挙しよう。

1:一つは景気に左右されない、したがって大勢の影響をあまり受けない、そういう銘柄である。たとえば、制癌剤の開発などはこの部類であるが、これは同業製薬会社が似たようなものを次々と出すから安心できない。また、厚労省が認可するかどうか判らないから収益に結び付くまでに時間がかかるから安心できない。分からない物には手を出さない。

景気に左右されないとは言ってもそういうものではなくて、介護用ロボットとか高齢化社会に伴って需要が増えるものとか構造的に日本の趨勢に沿うものを言う。私事にわたって恐縮だが、筆者はそういうものから介護用ロボットを選んで12月下旬の突っ込みを、わずかだけ買ってみたところ、この1ヶ月でちょうど7割上がった。

2:もう一つの見方は、逆に景気敏感株である。これは一般の株価よりも先に動く。これはLME(ロンドンの非鉄金属取引所)の動向で分かる銅の相場などで知る鉱山株である。

筆者は現職時代にLME相場を見ていて銅が高ければ同和鉱業・三井金属を顧客に勧め、大抵の場合は短期的に利益を得た。また丸棒という鉄筋コンクリートの芯棒にする細い鉄棒の相場を見ていてこれが高騰すると丸棒のメーカーである東海鋼業の株を土木業者の社長に勧めると彼ら職務柄それを熟知していて、すぐに反応してくれた。

結果的には短期的に少々、利益を出したし、また、土木業の社長を新規開拓した。この景気先行敏感株を使う方法は効率よかった。またバルチック海運指数というのがある。これは貨物船の運賃の相場である。これを見て船会社を顧客に買わせた。大抵の場合は的中し短期的に利益を得た。バルチック海運指数というのは激動する。そしてむしろ景気の先行指標である。

3:または国際優良株の中でも月足で見て10年来の最安値に近いようなものである。これは業績の問題があるから安いのであって、10年来の安値で且つ業績に問題がないなどという贅沢な株は世の中にない。

4:また、創業オーナー社長が予想に反して大幅減益を発表したり、一挙に膿を出し切る決算を発表したりして急落した株価も狙い目であろう。サラリーマン経営者ならばそういうことはしない。傷口は穏やかな弥縫策をとるであろう。

創業オーナー社長は一挙にやる場合が多い。数年前日本電産の永守重信氏が大幅減益を発表したので株価は急落したらばそれは買いだと思っていたところ、取引開始後すぐに急騰してしまった。

筆者のような考え方の人が多かったのであろう。今回も日本電産が史上最高の利益予測に反して減益を発表した。これは即買い場だとは言わないが、たとえばの話しでそういうものも見ていく必要はある。

5:事件ものである。こういうとヘンなボロ株の物色と聞こえようが、そうではない。現場はしっかりしていて技術は優秀な筈だが一部の幹部が粉飾をしたので暴落したとか、改竄をしたが製品に関係はない名門企業である。

前者の代表例はオリンパスである。粉飾騒ぎで2,000円台の株が400円台まで下がった。内視鏡では世界一である。そのブランドは生きているし技術は生きている。上場廃止になっても実体価値を重視して再上場を果たすはずだ。幹事証券と株主が放置しない。そう考えて400円台を買ったら早期に3倍になったから、すかさず利食いしてしまったが長期に持てば10倍になった。

古い例では、10年前の西武鉄道の上場廃止だ。株主構成を長年ウソを発表していたので証取が怒って上場廃止したが事業そのものは健全だった、そこで上昇廃止前に買っておけば再上場で3倍になった。但し10年近くかかった。
10年で3倍なら良しとした。

最近の例ではKYB(萱場工業)、油圧機の名門である。油圧機なければ自動車はない。それのデータ改竄騒ぎの際に、突っ込みの2410円で少々だが買った。それから日経平均で5,000円下がったが買値を割ったことはなく常に1~2割は上に居た。やはり、それが大底だったのだ。

6:またたとえば、株主構成やビジネスモデルから見て絶対に破綻はさせないが破綻価格にある銘柄(昔で言えば額面割れ)。ジョン・テンプルトンは104銘柄一挙に買ったという実話の例で言えば1ドル以下の株価のものは長期的に買えばいつか2倍にはなる。ジョン・テンプルトンは銘柄発掘の名人と言われて「ストック・ピッカー」と言われたが、発想は単純なところにあった。

その銘柄の見つけ方は、有利子負債が年間売り上げよりも多いようなものはダメだ。有利子負債が年間売り上げに比べて極めて少ないが赤字ではない、赤字ならば利益剰余金が減っていくから避ける、もう一つは利益剰余金の金額である。

こういう観点から月足を見ていて、超長期的に安値であるものを見つけていく。今年からはマクロ一点張りではなく時にはミクロに目を向けていかねばならないと思う。

Next: マクロをにらんでミクロでしのぎつつ、今年の戦略は?

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