リーマン危機の演出?
延期する場合、どんな理由によるのか、説明が必要で、特に「リーマン危機」並みの危機の説明が求められます。
昨年暮れから、米国発の株価急落があり、これが日本にも広く不安を広げるようなら、「リーマン危機」並みの材料にする余地はあったのですが、幸か不幸か、米国株も日本株も反発して危機を脱しました。
心配のタネと言える中国については、政府日銀が楽観的にみているので、これを理由にはしにくくなっています。
目下のところ視界には「リーマン危機」並みのショックは見えません。米中貿易摩擦も、米国が妥協の姿勢を見せそうで、3月1日の対中国製品への関税引き上げは回避される見込みとなっています。
そして2回目の米朝首脳会談が今月27日・28日にベトナムで開催となれば、これも祝祭ムードを高め、株式市場には追い風となります。
だからと言って、消費税引き上げを取りやめるために、人為的に危機を演出するなどということは、米国なら時々見られますが、本末転倒で、決して許されることではありません。
選挙で勝つためには手段を選ばないとの暴挙ですが、これを許すのも野党の力が弱く、ダブル選挙への対応ができないことと、何よりも小選挙区の弊害を利用して少ない得票でも過半の議席をとれる制度のせいです。
いずれにしても、この異常な選挙制度を利用し、選挙で勝てばすべて悪事が許されたと解釈することは、民主主義の冒涜にほかなりません。
財政赤字は青天井に
国民の血税を国民のために再配分するのではなく、政府の都合で一部の「お友達」の利益になるように配分するようなら、消費税引き上げの中止は歓迎します。
しかし、今回の消費税引き上げ決断の裏には、安倍政権に対してトランプ政権が防衛費の拡大、米国の兵器購入増を強く求めてきたことがありました。現にイージス・アショアやF35戦闘機の購入増などが決められています。
これらは消費税の引き上げを止めたから取り消しとはいきません。
また災害対策ならびに関連して国土強靭化に向けた事業の拡大など、支出拡大は進行しています。税収の確保なしに、歳出の拡大は着実に進んでいます。
裏を返せば、それだけ財政赤字の拡大が進み、財政の基礎的バランス(プライマリー・バランス)の黒字化は半永久的に実現しなくなります。
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