fbpx

中国に仕掛けられた罠。「人民元のSDR構成通貨採用」で笑うのは米国

欧米金融資本の「深謀遠慮」

これらの改革がある程度進めば、世界の中央銀行が人民元を準備通貨として持ち始めるので、人民元安にも歯止めがかかり、人民元需要が高まれば、また上昇する可能性もあります。

しかし、これで安心というわけにはいきません。

人民元がSDRの構成通貨となった後は、かつての日本でも見られたような、金融市場での「国際化」で中国の金融市場が大きく揺さぶられます。

巨大な国有銀行がBIS規制の対象になり、自己資本規制で縛られるようになります。

80年代に日本の銀行は8%の自己資本を求められましたが、大銀行にはより高い数字が求められます。

中国の4大国有銀行は、世界での地位が高く、高い自己資本が求められますが、そう簡単にこれを満たせるものではありません。

欧米金融資本は、西側のルールで中国の金融市場を縛る過程で、中国市場で混乱が生じることを読んでいます。

資本不足の銀行には欧米資本が参加しようということになり、経営の実権を握ることも考えられます。

中国発の大混乱の可能性も

中国が金融の国際化を急げば、中国発の大混乱が生じるとの警告も見られます。

中国は日本の金融自由化、バブル、金融危機を見て研究したと言われるので、相応の対応をすると見られますが、やってみないとわからない面もあり、中国がこれらをどうかじ取りするかで、来年、再来年の世界経済は大きく変わります。

それほど大きな問題が控えているのです。

【関連】中国は沈むのか?昇るのか?米国vs多極主義陣営の戦いが示す未来=北野幸伯

【関連】記者に終身刑も。IS原油密売の露呈を怖れるトルコ大統領の言論封殺

【関連】馬渕治好の米国出張レポート~「利上げ、日本株、Xmas商戦」NY現地の声

【関連】まさに腐海。中国が環境汚染に無関心でいられる「自分勝手」な理由=三橋貴明

1 2

マンさんの経済あらかると』(2015年12月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

マンさんの経済あらかると

[月額880円(税込) 毎週月・水・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー